国会
2025年11月19日
『国家試験受験のためのよくわかる判例〔第2版〕』 西村和彦著・2024年9月6日
ISBNISBN 978-4-426-13029-9
ガイダンス
国会は、国権の最高機関であるとともに、国の唯一の立法機関です (憲法41条)。 国の唯一の立法機関であるとは、国の立法は、原則として、国会をまって行わなくてはならないこと (国会中心立法の原則)、国の立法は、原則として、国会の議決のみで成立すること (国会単独立法の原則) を意味します。
在宅投票制度廃止事件 (最判昭60.11.21)
■事件の概要
公職選挙法は、歩行が著しく困難なため投票所に行けない選挙人のために在宅投票制度を定めていたが、制度を悪用する者が後を絶たないため、法改正を行って同制度を廃止し、その後、同制度を設ける法改正をしてしないできた。 そこで、歩行が著しく困難なため投票所に行けない選挙人Xは、国会が在宅投票制度を廃止し、その後、同制度を設ける法改正をしないことは、選挙権の行使を妨げるものであり、憲法13条、15条1項・3項、14条、44条、47条に違反する違法な公権力の行使であるとして国家賠償を求める訴えを提起した。
判例ナビ
立法の合憲性が問題となるのは、国会が制定した法律についてであるのが通常です。 しかし、本件の場合は、国会は、Xの選挙権行使を妨げる法律を積極的に制定したわけではありません。 Xが選挙権を行使することができるような立法をしなかったという不作為が争点になった事件です。 そこで、立法をしないという不作為が違法審査の対象となるかどうかが問題となりました。 第1審はXの請求を一部認容しましたが、控訴審はXの請求を棄却したため、Xが上告しました。
■裁判所の判断
1 国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずることを規定するものである。 したがって、国会議員の立法行為 (立法不作為を含む。以下同じ。) が同項の適用上違法となるかどうかは、国会議員の立法過程における行動が、国民が選挙した代表者として、国民全体の利益のために、あるいは、その属する議院の意思に沿うべく、その権限を行使すべきものとする国会議員の職務の性質を踏まえ、これを十分考慮して判断されなければならない。もとより、国会議員の立法行為は、これによって、直ちに個別の国民の具体的な権利を違法に侵害することが通常はなく、また、国会議員が立法に関して国民全体に対して負う政治的責任とは別に、個々の国民の権利との関係で法的義務を負うものではないから、国会議員の立法行為が、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法と評価されることはないのが原則である。しかし、国会議員が立法行為をすることが、個別の国民との間で、その具体的な権利を保護すべき職務上の法的義務に違反する場合もあり得る。国会が開会されているか否か、あるいは審議、採決が行われたか否かにかかわらず、法律の制定、改廃といった立法府の権限の不行使が、憲法の規定に明白に違反すると認められるにもかかわらず、正当な理由なく長期間にわたってこれを行わない場合には、例外的に、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法と評価されることがあるというべきである。
2 これを本件についてみるに、...憲法は在宅投票制度の設置を積極的に命ずる明文の規定をおいていない。かえって、その47条は「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」と規定しているのであって、これが投票の方法その他選挙に関する事項の具体的決定を原則として立法府である国会の裁量的権限に任せる趣旨であることは、当裁判所の判例とするところである。
そうすると、在宅投票制度を廃止した後の選挙の際にこれを復活しなかった立法不作為につき、これが何人かの具体的権利を侵害するものとして違法となるか否かは、結局、本件立法不作為が憲法15条1項の適用の問題として、国会の立法裁量の範囲を逸脱するものではないかという点に帰着する。
解説
憲法一定の立法をすべきことが国会に義務付けられているにもかかわらず、立法がなされていないことを立法不作為といいます。 本件では、国家賠償法1条1項の違法性有無の問題を通じて、立法不作為が違憲と判断されるには、どのような要件を満たす必要があるかが問題となりました。 本判決は、「国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けない」と述べていますから、裏を返せば、立法不作為が違憲となる可能性は、ほとんどないことになります。 なお、Xの上告は棄却されました。
過去問
1 国会議員の立法行為が国家賠償法上違法の評価を受けるか否かという問題は、当該立法の当否が、憲法の規定に違反するか否かという憲法の解釈の問題と、当該立法行為が、国会議員の職務上の法的義務に違反するか否かという国家賠償法上の問題とを、区別して判断されるべきである。すなわち、立法の内容が憲法の規定に違反するとしても、それゆえに直ちに、国家賠償法上も違法であると評価されるわけではない (公務員2007年)。
1 ○ 判例は、国会議員の立法行為が国家賠償法上違法の評価を受けるか否かという問題と当該立法の合憲性の問題とを区別し、立法の内容が違憲であっても、国会議員の立法行為が直ちに違法と評価されるものではないとしています (最判昭60.11.21)。
国会議員の免責特権 (最判平9.9.9)
■事件の概要
衆議院議員Aは、医療法の一部改正に伴う法案の審議に際し、実在する分類病院を取り上げ、B病院長は医師を常駐し女性患者にハレンチな行為をしたが、現在の行政の下ではこのような医師をチェックすることができないのではないか、などと発言をした。 この発言は、患者の人権擁護の見地から問題のある病院に対する十分な監督を求める趣旨であったが、発言の翌日、Bは自殺した。
判例ナビ
Bの妻Xは、Aの発言によってBの名誉が毀損され、Bは自殺に追い込まれたとして、Y (国) に対して国家賠償法1条に基づく損害賠償を、Aに対して民法709条、710条に基づく損害賠償を求める訴訟を提起しました。 第1審は、XのAに対する請求もYに対する請求も棄却し、控訴審もその控訴を棄却したため、Xが上告しました。
■裁判所の判断
1 本件発言は、国会議員であるAによって、国会内の質疑の場においてされたものであることが明らかである。 そうすると、仮に本件発言がAの故意又は過失による違法な行為であるとしても、Yが賠償責任を負うのは国家賠償法1条1項の規定によるものであるとしても、その責任をAに問うことができるかどうかは、本件発言が憲法51条に規定する「議院で行つた演説、討論又は表決」に該当するかどうかの論点を検討するまでもなく、XのAに対する本訴請求は理由がない。
2 国会又は国会議員が国民に対し同項の適用上違法となるかどうかは、その発言が国会議員としての個別国民に対して負う職務上の法的義務に違反したかどうかの問題である。
3 国会議員は、立法に関しては、原則として、国会全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり、個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではなく、国会議員が立法行為を行うことは、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価は受けないというべきであるが...。この理は、独立した行為が国会議員の質疑等の事実行為一般にも妥当するものである。
これに対して、国会議員が、立法、条約の承認、財産の監督等の審議や国政に関する調査の過程で行う質疑、演説、討論等 (以下「質疑等」という。) は、多数決原理により国家意思を形成する行為そのものではなく、国家意思の形成に向けられた行為である。 もとより、国家意思の形成の過程には国民の間に存する多元的な意見及びその対立が反映されるべきであるから、どのような質疑等においても、質疑等は社会に生起する広範な問題が取り上げられることになり、中には法的秩序の枠内にある行為もあれば、枠外の行為もある。したがって、質疑等の内容が国民の個別の権利等に直接かかわることを起こし得る。
4 これを本件についてみるに、前記事実関係によれば、本件発言が法律案の審議について国会議員の職務に関係するものであったことは明らかであり、また、Aが本件発言をすることがAに違法又は不当な目的があったとは認められず、本件発言の内容が虚偽であることを知らされてした等の事実の認否判断は、原判決の証拠関係に照らしても首肯することができる。 したがって、Yの国家賠償法上の責任を否定した原審の判断は、正当として是認することができる。
解説
本件では、「国会議員の発言が国家賠償法上違法と評価されるかどうか」が問題となりました。 本判決は、「職務とかかわりなく違法・不当な目的をもって」事実を摘示した場合や「虚偽であることを知りながらあえて」事実を摘示した場合等極めて限定された場面で違法と評価される場合があることを認めましたが、Aの発言は、これらの場合に当たらないとしました。
過去問
1 国会議員が国会での法律案の審議の際に、職務とはかかわりなく不当な目的をもって事実を摘示し個別の国民の信用を低下させたといても、当該国会議員は院外で民事賠償責任を問われることはなく、当該国会議員の質疑について国が損害賠償責任を負うこともない。 (司法書士2022年)
2 国会議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で民事・刑事上の責任を問われないという免責特権を有するのであり、国会議員の議院内での発言について、国が国家賠償法第1条に基づく賠償責任を負うことはないとするのが判例である。 (公務員2020年)
1 × 判例は、国会議員が、その職務とはかかわりなく違法または不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情がある場合には、国が国家賠償法第1条に基づく賠償責任を負うことを認めています (最判平9.9.9)。
国会は、国権の最高機関であるとともに、国の唯一の立法機関です (憲法41条)。 国の唯一の立法機関であるとは、国の立法は、原則として、国会をまって行わなくてはならないこと (国会中心立法の原則)、国の立法は、原則として、国会の議決のみで成立すること (国会単独立法の原則) を意味します。
在宅投票制度廃止事件 (最判昭60.11.21)
■事件の概要
公職選挙法は、歩行が著しく困難なため投票所に行けない選挙人のために在宅投票制度を定めていたが、制度を悪用する者が後を絶たないため、法改正を行って同制度を廃止し、その後、同制度を設ける法改正をしてしないできた。 そこで、歩行が著しく困難なため投票所に行けない選挙人Xは、国会が在宅投票制度を廃止し、その後、同制度を設ける法改正をしないことは、選挙権の行使を妨げるものであり、憲法13条、15条1項・3項、14条、44条、47条に違反する違法な公権力の行使であるとして国家賠償を求める訴えを提起した。
判例ナビ
立法の合憲性が問題となるのは、国会が制定した法律についてであるのが通常です。 しかし、本件の場合は、国会は、Xの選挙権行使を妨げる法律を積極的に制定したわけではありません。 Xが選挙権を行使することができるような立法をしなかったという不作為が争点になった事件です。 そこで、立法をしないという不作為が違法審査の対象となるかどうかが問題となりました。 第1審はXの請求を一部認容しましたが、控訴審はXの請求を棄却したため、Xが上告しました。
■裁判所の判断
1 国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずることを規定するものである。 したがって、国会議員の立法行為 (立法不作為を含む。以下同じ。) が同項の適用上違法となるかどうかは、国会議員の立法過程における行動が、国民が選挙した代表者として、国民全体の利益のために、あるいは、その属する議院の意思に沿うべく、その権限を行使すべきものとする国会議員の職務の性質を踏まえ、これを十分考慮して判断されなければならない。もとより、国会議員の立法行為は、これによって、直ちに個別の国民の具体的な権利を違法に侵害することが通常はなく、また、国会議員が立法に関して国民全体に対して負う政治的責任とは別に、個々の国民の権利との関係で法的義務を負うものではないから、国会議員の立法行為が、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法と評価されることはないのが原則である。しかし、国会議員が立法行為をすることが、個別の国民との間で、その具体的な権利を保護すべき職務上の法的義務に違反する場合もあり得る。国会が開会されているか否か、あるいは審議、採決が行われたか否かにかかわらず、法律の制定、改廃といった立法府の権限の不行使が、憲法の規定に明白に違反すると認められるにもかかわらず、正当な理由なく長期間にわたってこれを行わない場合には、例外的に、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法と評価されることがあるというべきである。
2 これを本件についてみるに、...憲法は在宅投票制度の設置を積極的に命ずる明文の規定をおいていない。かえって、その47条は「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」と規定しているのであって、これが投票の方法その他選挙に関する事項の具体的決定を原則として立法府である国会の裁量的権限に任せる趣旨であることは、当裁判所の判例とするところである。
そうすると、在宅投票制度を廃止した後の選挙の際にこれを復活しなかった立法不作為につき、これが何人かの具体的権利を侵害するものとして違法となるか否かは、結局、本件立法不作為が憲法15条1項の適用の問題として、国会の立法裁量の範囲を逸脱するものではないかという点に帰着する。
解説
憲法一定の立法をすべきことが国会に義務付けられているにもかかわらず、立法がなされていないことを立法不作為といいます。 本件では、国家賠償法1条1項の違法性有無の問題を通じて、立法不作為が違憲と判断されるには、どのような要件を満たす必要があるかが問題となりました。 本判決は、「国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けない」と述べていますから、裏を返せば、立法不作為が違憲となる可能性は、ほとんどないことになります。 なお、Xの上告は棄却されました。
過去問
1 国会議員の立法行為が国家賠償法上違法の評価を受けるか否かという問題は、当該立法の当否が、憲法の規定に違反するか否かという憲法の解釈の問題と、当該立法行為が、国会議員の職務上の法的義務に違反するか否かという国家賠償法上の問題とを、区別して判断されるべきである。すなわち、立法の内容が憲法の規定に違反するとしても、それゆえに直ちに、国家賠償法上も違法であると評価されるわけではない (公務員2007年)。
1 ○ 判例は、国会議員の立法行為が国家賠償法上違法の評価を受けるか否かという問題と当該立法の合憲性の問題とを区別し、立法の内容が違憲であっても、国会議員の立法行為が直ちに違法と評価されるものではないとしています (最判昭60.11.21)。
国会議員の免責特権 (最判平9.9.9)
■事件の概要
衆議院議員Aは、医療法の一部改正に伴う法案の審議に際し、実在する分類病院を取り上げ、B病院長は医師を常駐し女性患者にハレンチな行為をしたが、現在の行政の下ではこのような医師をチェックすることができないのではないか、などと発言をした。 この発言は、患者の人権擁護の見地から問題のある病院に対する十分な監督を求める趣旨であったが、発言の翌日、Bは自殺した。
判例ナビ
Bの妻Xは、Aの発言によってBの名誉が毀損され、Bは自殺に追い込まれたとして、Y (国) に対して国家賠償法1条に基づく損害賠償を、Aに対して民法709条、710条に基づく損害賠償を求める訴訟を提起しました。 第1審は、XのAに対する請求もYに対する請求も棄却し、控訴審もその控訴を棄却したため、Xが上告しました。
■裁判所の判断
1 本件発言は、国会議員であるAによって、国会内の質疑の場においてされたものであることが明らかである。 そうすると、仮に本件発言がAの故意又は過失による違法な行為であるとしても、Yが賠償責任を負うのは国家賠償法1条1項の規定によるものであるとしても、その責任をAに問うことができるかどうかは、本件発言が憲法51条に規定する「議院で行つた演説、討論又は表決」に該当するかどうかの論点を検討するまでもなく、XのAに対する本訴請求は理由がない。
2 国会又は国会議員が国民に対し同項の適用上違法となるかどうかは、その発言が国会議員としての個別国民に対して負う職務上の法的義務に違反したかどうかの問題である。
3 国会議員は、立法に関しては、原則として、国会全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり、個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではなく、国会議員が立法行為を行うことは、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の規定の適用上違法の評価は受けないというべきであるが...。この理は、独立した行為が国会議員の質疑等の事実行為一般にも妥当するものである。
これに対して、国会議員が、立法、条約の承認、財産の監督等の審議や国政に関する調査の過程で行う質疑、演説、討論等 (以下「質疑等」という。) は、多数決原理により国家意思を形成する行為そのものではなく、国家意思の形成に向けられた行為である。 もとより、国家意思の形成の過程には国民の間に存する多元的な意見及びその対立が反映されるべきであるから、どのような質疑等においても、質疑等は社会に生起する広範な問題が取り上げられることになり、中には法的秩序の枠内にある行為もあれば、枠外の行為もある。したがって、質疑等の内容が国民の個別の権利等に直接かかわることを起こし得る。
4 これを本件についてみるに、前記事実関係によれば、本件発言が法律案の審議について国会議員の職務に関係するものであったことは明らかであり、また、Aが本件発言をすることがAに違法又は不当な目的があったとは認められず、本件発言の内容が虚偽であることを知らされてした等の事実の認否判断は、原判決の証拠関係に照らしても首肯することができる。 したがって、Yの国家賠償法上の責任を否定した原審の判断は、正当として是認することができる。
解説
本件では、「国会議員の発言が国家賠償法上違法と評価されるかどうか」が問題となりました。 本判決は、「職務とかかわりなく違法・不当な目的をもって」事実を摘示した場合や「虚偽であることを知りながらあえて」事実を摘示した場合等極めて限定された場面で違法と評価される場合があることを認めましたが、Aの発言は、これらの場合に当たらないとしました。
過去問
1 国会議員が国会での法律案の審議の際に、職務とはかかわりなく不当な目的をもって事実を摘示し個別の国民の信用を低下させたといても、当該国会議員は院外で民事賠償責任を問われることはなく、当該国会議員の質疑について国が損害賠償責任を負うこともない。 (司法書士2022年)
2 国会議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で民事・刑事上の責任を問われないという免責特権を有するのであり、国会議員の議院内での発言について、国が国家賠償法第1条に基づく賠償責任を負うことはないとするのが判例である。 (公務員2020年)
1 × 判例は、国会議員が、その職務とはかかわりなく違法または不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情がある場合には、国が国家賠償法第1条に基づく賠償責任を負うことを認めています (最判平9.9.9)。