弁護士の知識

公判手続き|公判の準備

2025年11月19日

『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8

当事者追行主義の公判手続が健全・的確に作動するためには、手続関与者による事前の周封な準備が不可である〔序15)。公判期日の審理の準備のために、裁判所及び訟関係人により行われる手続を「公判準備」と称する。刑事手続の目標である事案解明。すなわち検察官が起訴状において主張する公訴事実が、公判期日における検察官の立証活動と被告人・弁護人の防興活動を踏まえて、合理的な疑いを超えて証明できているか、また、量刑にとって重要な事実が過不足なく証明できているかを、事実認定者である裁判所が、両当事者の論告・弁論を踏まえて、これを吟味・点検・評価する判決に到達すること、このような目標に向けて、手続関与者の相互協力と知力を尽くした目的合理的活動が要請される場面である。また、公判審理の迅速かつ充実した進行管理という観点からは、連日的に開廷して計画的・集中的な審理を実現するため(法281条の6),第1回公判期日前にあらかじめ事件の争点が整理され、その証明活動に向けた両当事者の立証計画が確立し、審理計画が策定されていることが必要不可久である。
このように公判の準備は、刑事裁判の帰趨を決する極めて重要な手続段階である。法は、「公判前整理手続」(法 316条の2以下)を設定して、公判準備の典型形式を具現している。以下では、まずすべての公判準備に共通する事項に触れ、ぬいで、公判前整理手続の作動過程を説明する。