公判手続き|公判手続の関与者|被告人|被告人の意義と訴訟法上の地位
2025年11月19日
『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8
(1) 刑事手続において公訴を提起された者を「被告人」という。他の被告人の事件と併合審判される場合は、それらの被告人を「共同被告人(相被告入)」と称する。起訴状には、被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項が記載され(法 256条2項1号),公訴の効力は、検察官の指定した被告人以外の者には及ばない(法249条)。被告人の特定については、既に説明したとおりである〔第2編公訴第2章112)。
(2) 刑事訴訟において、一般的にその当事者になり得る地位を想定することができる。これを「当事者能力」という。検察官について問題はないので、これは被告人になり得る一般的適格の問題となる。刑事訴訟は刑罰権の具体的適用実現の可否を判断することを目的として起動される制度であるから、およそ受刑の可能性が全くあり得ない者は被告人となり得ない。それ以外の主体には、当事者能力がある。
自然人であれば、年齢、国籍を問わず、一般的には当事者となり得る。法人及び法人格のない社団・財団等については、実体法に処罰規定がない場合、処罰の可能性がないが、法は、起訴後に被告人が死亡したときまたは法人が存続しなくなったときは、決定で公訴を棄却すべきものとしており(法 339条1項4号),既に死亡している者や存在しない法人に対して公訴提起があったときも同様に扱われるのが適切であろう。このような主体には当事者能力がないとして公訴棄却すべきである。これに対して、法は、実在の自然人及び法人等にはすべて当事者能力を認めているものと解される。当事者能力は、起訴状の内容に立ち入る前に、公訴事実と関係なく一般的に判断すべき事項であるから、刑事未成年者の起訴や処罰規定のない法人等の起訴の場合は、実在している当該被告人に当事者能力はあるが、罪となるべき事実が記載されていないものとして公訴棄却すれば足りるであろう(法339条1項2号)。
(3)個別の刑事手続において、被告人としての重要な利害を別し、それに従って相当な防禦活動をすることができる能力のことを「訴訟能力」という
(最決平成 7・2・28集49巻2号481頁)。法は被告人が「心神喪失の状態」すなわち訴訟能力をく状態にあるときは、原則として。公判手続を辞止しなければならないとしている(法314条1項)。なお、訴訟能力が回復する見込のない袋疑者・被告人に対する対応措置については既に説明したとおりである(第2
編公訴第2章12(3/6))。
もっとも、訴訟能力(意思能力)のない場合でも、法定代理人に訴訟行為の代理をさせて手続を進行できる事件もある(法28条)。また。被告人が法人である場合は、訴訟能力がないから、自然人であるその代表者が訴訟行為について法人を代表する(法27条)。これらの場合に、法定代理人または代表者がいないときは、特別代理人を選任して訴訟行為を行わせる(法29条)。
(4)被告人は訴訟の当事者すなわち訴訟の主体として、裁判所、検察官と共に公判手続を進行させる重要な関与者である。防側当事者として、弁護人依頼権(法 30条),証拠調べの請求権(法298条1項),証人尋問権(法304条2項)等の手続上の重要な権利が法定されているほか。裁判所が一定の処分・判断をするに際して,被告人の意見を聴かなければならないとされている場合がある(例,法158条1項・276条2項・291条の2等)。
訴訟の主体である被告人は、他方で,証拠方法となる場合もある。公判期日において被告人は自ら任意に供述をすることができるが(法311条2項・3項)、その供述は、自己に不利益な証拠ともなりまた利益な証拠ともなり得る(規則197条1項参照)(なお、被告人の最も重要な権利である黙秘権[自己負罪拒否特権]については、第1編捜査手続第9章II,証拠としての被告人の供述については、第4編証拠法第4章を参照)。また。被告人の身体は検証(身体検査)の対象となり得る(法129条)。
被告人は、公判手続の過程で、勾引、勾留等の強制処分の対象となり得る。
タ引・勾留は、後記のとおり第1次的には被告人の公判期日への出頭を確保するための処分である。
(2) 刑事訴訟において、一般的にその当事者になり得る地位を想定することができる。これを「当事者能力」という。検察官について問題はないので、これは被告人になり得る一般的適格の問題となる。刑事訴訟は刑罰権の具体的適用実現の可否を判断することを目的として起動される制度であるから、およそ受刑の可能性が全くあり得ない者は被告人となり得ない。それ以外の主体には、当事者能力がある。
自然人であれば、年齢、国籍を問わず、一般的には当事者となり得る。法人及び法人格のない社団・財団等については、実体法に処罰規定がない場合、処罰の可能性がないが、法は、起訴後に被告人が死亡したときまたは法人が存続しなくなったときは、決定で公訴を棄却すべきものとしており(法 339条1項4号),既に死亡している者や存在しない法人に対して公訴提起があったときも同様に扱われるのが適切であろう。このような主体には当事者能力がないとして公訴棄却すべきである。これに対して、法は、実在の自然人及び法人等にはすべて当事者能力を認めているものと解される。当事者能力は、起訴状の内容に立ち入る前に、公訴事実と関係なく一般的に判断すべき事項であるから、刑事未成年者の起訴や処罰規定のない法人等の起訴の場合は、実在している当該被告人に当事者能力はあるが、罪となるべき事実が記載されていないものとして公訴棄却すれば足りるであろう(法339条1項2号)。
(3)個別の刑事手続において、被告人としての重要な利害を別し、それに従って相当な防禦活動をすることができる能力のことを「訴訟能力」という
(最決平成 7・2・28集49巻2号481頁)。法は被告人が「心神喪失の状態」すなわち訴訟能力をく状態にあるときは、原則として。公判手続を辞止しなければならないとしている(法314条1項)。なお、訴訟能力が回復する見込のない袋疑者・被告人に対する対応措置については既に説明したとおりである(第2
編公訴第2章12(3/6))。
もっとも、訴訟能力(意思能力)のない場合でも、法定代理人に訴訟行為の代理をさせて手続を進行できる事件もある(法28条)。また。被告人が法人である場合は、訴訟能力がないから、自然人であるその代表者が訴訟行為について法人を代表する(法27条)。これらの場合に、法定代理人または代表者がいないときは、特別代理人を選任して訴訟行為を行わせる(法29条)。
(4)被告人は訴訟の当事者すなわち訴訟の主体として、裁判所、検察官と共に公判手続を進行させる重要な関与者である。防側当事者として、弁護人依頼権(法 30条),証拠調べの請求権(法298条1項),証人尋問権(法304条2項)等の手続上の重要な権利が法定されているほか。裁判所が一定の処分・判断をするに際して,被告人の意見を聴かなければならないとされている場合がある(例,法158条1項・276条2項・291条の2等)。
訴訟の主体である被告人は、他方で,証拠方法となる場合もある。公判期日において被告人は自ら任意に供述をすることができるが(法311条2項・3項)、その供述は、自己に不利益な証拠ともなりまた利益な証拠ともなり得る(規則197条1項参照)(なお、被告人の最も重要な権利である黙秘権[自己負罪拒否特権]については、第1編捜査手続第9章II,証拠としての被告人の供述については、第4編証拠法第4章を参照)。また。被告人の身体は検証(身体検査)の対象となり得る(法129条)。
被告人は、公判手続の過程で、勾引、勾留等の強制処分の対象となり得る。
タ引・勾留は、後記のとおり第1次的には被告人の公判期日への出頭を確保するための処分である。