検証・鑑定|鑑定|鑑定の意義
2025年11月19日
『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8
(1)鑑定とは、特別の専門的知識・経験に属する法則またはこれを具体的事実に適用して得られる判断の報告である。公判手続においては、裁判所が裁判上の判断をするのに必要な知識・経験の不足を補充する目的で、特別の知識・経験を有する者に命じて、その認識・判断内容を提供させたものをいう[第3編公判手続第4章W2。捜査段階においては、捜査機関が捜査上の判断をなすため、特別の知識・経験を補充する必要がある場合に、専門家に鑑定を幅託することができる。通訳・翻訳は鑑定の一種である(法 223条1項)。
(2)裁判所の判断作用を補充するために鑑定を命じられた者を「鑑定人」という。鑑定人は、出頭宣普及び鑑定の義務を負う(法106条・171条)。これに対して、捜査機関による嘱託に強制力はない(法 223条2項・198条1項但書)。
鑑定の嘱託を受けた者(「鑑定受託者」という)には宜替手続もない。もっとも、特別の専門的知識・経験に基づく認識・判断内容の報告という点においては、鑑定受託者による鑑定と鑑定人による鑑定とで異なるところはなく、鑑定の結果が証拠資料となることが想定されている点でも共通する。
嘱託鑑定の結果は通常書面で報告される。捜査機関の嘱託による鑑定の経過及び結果を記載した書面も伝聞証拠であるが、証拠能力については裁判所が命じた鑑定人の作成した書面に関する法 321条4項の規定が準用されると解されている(最判昭和 28・10・15刑集7巻10号1934頁)。専門的判断内容の報告という点での前記のような実質的共通性に着目したものである〔第4編証拠法第5章Ⅶ 2)。
(2)裁判所の判断作用を補充するために鑑定を命じられた者を「鑑定人」という。鑑定人は、出頭宣普及び鑑定の義務を負う(法106条・171条)。これに対して、捜査機関による嘱託に強制力はない(法 223条2項・198条1項但書)。
鑑定の嘱託を受けた者(「鑑定受託者」という)には宜替手続もない。もっとも、特別の専門的知識・経験に基づく認識・判断内容の報告という点においては、鑑定受託者による鑑定と鑑定人による鑑定とで異なるところはなく、鑑定の結果が証拠資料となることが想定されている点でも共通する。
嘱託鑑定の結果は通常書面で報告される。捜査機関の嘱託による鑑定の経過及び結果を記載した書面も伝聞証拠であるが、証拠能力については裁判所が命じた鑑定人の作成した書面に関する法 321条4項の規定が準用されると解されている(最判昭和 28・10・15刑集7巻10号1934頁)。専門的判断内容の報告という点での前記のような実質的共通性に着目したものである〔第4編証拠法第5章Ⅶ 2)。