被疑者の身体拘束|勾留|勾留の裁判及び執行
2025年11月19日
『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8
(1) 裁判官は、勾留質問の結果及び疎明資料等に基づき勾留の理由があると判断するときは、速やかに「勾留状」を発しなければならない(勾留は裁判官の裁判[命令]であるから、速やかな判断を要請されている点を念頭におきつつ、「事実の取調」をすることができる。法 43条3項,33条3項)。勾留状については、被疑者の氏名及び住居(不明の場合について法 64条2項・3項参照),罪名,被疑事実の要旨、法60条1項各号に定める事由,勾留すべき刑事施設,その他一定の記載事項が定められている(法64条1項,規則70条)。罪名及び被疑事実の要旨の記載は、逮捕状の場合と同様に,裁判官が身体拘束の正当な理由を認めた「罪」。すなわち対象事件を手続上明示顕在化する機能を果たす。
勾留状が発せられたときは、検察官の指揮により、検察事務官。司法響察職員、又は刑事施設職員がこれを執行する(法70条)。勾留状を執行するには、これを被疑者に示した上(なお、被疑者は勾留状の本の交付を請求することができる。その弁護人への交付請求等について規則の定めがある。規則150条の4~150条の8,できる限り速やかに。直接。勾留状に指定された刑事施設に引致しなければならない(法 73条2項)。
(2)勾部の場所は、刑事施設及びこれに代わる留置施設(刑事収容施設)である(刑事収容施設法3条・14条・15条)。被疑者を勾留状に記載されている刑事施設から別の制事施設に移すこと(移送)もできるが、そのためには殺利育の同意が必要である(規則80条1項)。勾留の場所は勾留裁判の内容として定められるものであるから、勾留裁判官が職権で移送命令を発することもできる(最決平成7・4・12刑集49巻4号609頁)。
(3) 長期間身体を拘束されることになる被疑者にとって、勾留される旨やその所在を外部に知らせておくことは、極めて重要である。また、身体を拘束されて自ら防製活動をすることができない被疑者にとっては、弁護人の援助を受ける権利の保障が特に重要である。そこで法は、被疑者を勾留したときは、表判官は直ちに弁護人にその旨を通知しなければならず、弁護人がないときは、被疑者の法定代理人、保佐人、配用者、直系親族及び見弟姉妹のうち疑者の指定する者一人にその旨を通知しなければならないとしている(法79条)。これは被疑者のため独立して弁護人を選任できる者であり(法 30条2項参照)、法的援助に結びつくことを期したものであろう。法定代理人等がないときは、被疑者の申出により,その指定する者一人にその旨を通知する(規則79条)。実務では、裁判官は、被疑者に弁護人がないときは、勾留質問の際に通知先に関する被疑者の意向を確認している。勾留場所の変更(移送)をした場合も通知を要する(規則80条2項・3項)。なお、逮捕段階については、このような外部への通知制度はない。
* 法制審議会は、電磁的記録による勾留状等の発付・執行に関する法改正要網を答申しており(要網(骨子)「第1-2・1」),その大要は次のとおりである。
(1) 召喚状,勾引状,勾留状及び鑑定留置状は、書面によるほか、電磁的記録によることができるものとする。(2)(略)(3)電磁的記録による勾引状または勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名。公訴事実の要旨、引致すべき場所または勾留すべき刑事施設、有効期間並びにその期間経過後は執行に着手することができず状は検察官及び検察事務官または司法察職員(法 70条2項の規定により刑事施設職員が執行することとなる場合には、検察官及び刑事施設職員)の使用に係る竜子計算機から消去することその他の裁判所の規則で定める措置をとり、かつ、当該措置をとった旨を記録した電磁的記録を裁判長または受命裁判官に提出しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記録し、裁判長または受命裁判官が、これに裁判所の規則で定める記名押印に代わる措置(令状に記録された事項を花子計算機の映像面、書面その他のものに表示したときに、併せて当該表判長または受命製判官の氏名が表示されることとなるものに限る。)をとらなければならないものとする。(4) ア(略)イ 電磁的記録による勾留状を執行するには、裁判所の規則の定めるところにより(3)の事項及び(3)の記名押印に代わる措置に係る裁判長または受命裁判官の氏名を電子計算機の映像面、書面その他のものに表示して被告人に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、指定された刑事施設に引致しなければならないものとすること。ウ竃磁的記録による勾引状または勾留状について、・・・・・イによる表示をすることができない場合において、急速を要するときは、被告人に対し公訴事実の要旨及び状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができるものとし、ただし、令状は、できる限り速やかにこれを示さなければならないものとする。
勾留状が発せられたときは、検察官の指揮により、検察事務官。司法響察職員、又は刑事施設職員がこれを執行する(法70条)。勾留状を執行するには、これを被疑者に示した上(なお、被疑者は勾留状の本の交付を請求することができる。その弁護人への交付請求等について規則の定めがある。規則150条の4~150条の8,できる限り速やかに。直接。勾留状に指定された刑事施設に引致しなければならない(法 73条2項)。
(2)勾部の場所は、刑事施設及びこれに代わる留置施設(刑事収容施設)である(刑事収容施設法3条・14条・15条)。被疑者を勾留状に記載されている刑事施設から別の制事施設に移すこと(移送)もできるが、そのためには殺利育の同意が必要である(規則80条1項)。勾留の場所は勾留裁判の内容として定められるものであるから、勾留裁判官が職権で移送命令を発することもできる(最決平成7・4・12刑集49巻4号609頁)。
(3) 長期間身体を拘束されることになる被疑者にとって、勾留される旨やその所在を外部に知らせておくことは、極めて重要である。また、身体を拘束されて自ら防製活動をすることができない被疑者にとっては、弁護人の援助を受ける権利の保障が特に重要である。そこで法は、被疑者を勾留したときは、表判官は直ちに弁護人にその旨を通知しなければならず、弁護人がないときは、被疑者の法定代理人、保佐人、配用者、直系親族及び見弟姉妹のうち疑者の指定する者一人にその旨を通知しなければならないとしている(法79条)。これは被疑者のため独立して弁護人を選任できる者であり(法 30条2項参照)、法的援助に結びつくことを期したものであろう。法定代理人等がないときは、被疑者の申出により,その指定する者一人にその旨を通知する(規則79条)。実務では、裁判官は、被疑者に弁護人がないときは、勾留質問の際に通知先に関する被疑者の意向を確認している。勾留場所の変更(移送)をした場合も通知を要する(規則80条2項・3項)。なお、逮捕段階については、このような外部への通知制度はない。
* 法制審議会は、電磁的記録による勾留状等の発付・執行に関する法改正要網を答申しており(要網(骨子)「第1-2・1」),その大要は次のとおりである。
(1) 召喚状,勾引状,勾留状及び鑑定留置状は、書面によるほか、電磁的記録によることができるものとする。(2)(略)(3)電磁的記録による勾引状または勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名。公訴事実の要旨、引致すべき場所または勾留すべき刑事施設、有効期間並びにその期間経過後は執行に着手することができず状は検察官及び検察事務官または司法察職員(法 70条2項の規定により刑事施設職員が執行することとなる場合には、検察官及び刑事施設職員)の使用に係る竜子計算機から消去することその他の裁判所の規則で定める措置をとり、かつ、当該措置をとった旨を記録した電磁的記録を裁判長または受命裁判官に提出しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記録し、裁判長または受命裁判官が、これに裁判所の規則で定める記名押印に代わる措置(令状に記録された事項を花子計算機の映像面、書面その他のものに表示したときに、併せて当該表判長または受命製判官の氏名が表示されることとなるものに限る。)をとらなければならないものとする。(4) ア(略)イ 電磁的記録による勾留状を執行するには、裁判所の規則の定めるところにより(3)の事項及び(3)の記名押印に代わる措置に係る裁判長または受命裁判官の氏名を電子計算機の映像面、書面その他のものに表示して被告人に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、指定された刑事施設に引致しなければならないものとすること。ウ竃磁的記録による勾引状または勾留状について、・・・・・イによる表示をすることができない場合において、急速を要するときは、被告人に対し公訴事実の要旨及び状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができるものとし、ただし、令状は、できる限り速やかにこれを示さなければならないものとする。