捜査の端緒|検問|検視
2025年11月19日
『刑事訴訟法』 酒卷 匡著・2024年9月20日
ISBNISBN978-4-641-13968-8
変死者又は変死の疑のある死体」(「変死体」という)があるとき、検察官は「検視」をしなければならない(法 229条1項)。死亡が犯罪に起因するものかどうかを判断するために死体の状況等を外表検査・見分する活動である。その結果犯罪に起因することが判明すれば、捜査が開始される。捜査そのものではなく、その端緒のひとつである。
検視の対象となる「変死体」とは、不自然死で犯罪に起因する死亡か不明のもの、または不自然死の疑いがありかつ犯罪に起因する死亡か不明のものをいう。自然死(病死、老死等)であることが明白な死体。及び不自然死であるが犯罪に起因しないことが明白な死体(明白な自殺、水中の溺死等)はこれに当たらない。
祝非に起因する死亡が明白な場合は、直ちに捜査が開始されるので、検視の対象にはならない。例えば当該死体について、刑訴法の規定に従い検証や、鑑定処分として解剖等が行われることになろう。他方、不自然死のうち犯罪に起因しないことが明白な死体については、いわゆる「行政検視」の対象になるにとどまり(このような場合の警察官の手続について「瞥察等が取り扱う死体の死因又は身の調査等に関する法律」[平成24年法律34号]及び「死体取扱規則」[平成25年国家公安委員会規則4号]がある),刑訴法上の検視(「司法検視」)の対象ではない。実際には、検視の対象となる可能性のある死体が発見されると警察官に届出がなされるのが大部分であろう。この場合,普察官は前記「察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律」に基づき、当該死体を取り扱うことが適当と認められる警察署長にその旨を報告し,察署長はその死体(犯罪捜査の対象となる死体を除く)の死因を明らかにするため必要があると認めるときは、医師等をして、体液等を採取して行う薬毒物検査、死亡時画像診断等の検査を行わせることになる。しかし、当該死体が「変死体」であるときは、司法検視が行われることになるので,後記「検視規則」に基づき、察署長から検察官に通知をし,検察官が司法検視の要否を判断することになる。
検察官は、検察事務官または司法察員に検視をさせることができる(法
229条2項。「代行検視」という)。なお、察官が変死体がある旨検察官に対して通知する場合や検察官の命を受けて代行検視する場合の手続について「検視
規則」(昭和33年国家公安委員会規則3号)がある。
検視を行うについては、変死体の存在とその見分の必要性・緊急性を理由に、住居主または看守者の承諾がなくとも令状なしに変死体の存在する場所に立ち入ることができるという見解が有力である。しかし、捜査そのものでなくとも、私的領域への侵入に対する憲法 35条の保障は及ぶはずであるから、疑問であろう。
検視の対象となる「変死体」とは、不自然死で犯罪に起因する死亡か不明のもの、または不自然死の疑いがありかつ犯罪に起因する死亡か不明のものをいう。自然死(病死、老死等)であることが明白な死体。及び不自然死であるが犯罪に起因しないことが明白な死体(明白な自殺、水中の溺死等)はこれに当たらない。
祝非に起因する死亡が明白な場合は、直ちに捜査が開始されるので、検視の対象にはならない。例えば当該死体について、刑訴法の規定に従い検証や、鑑定処分として解剖等が行われることになろう。他方、不自然死のうち犯罪に起因しないことが明白な死体については、いわゆる「行政検視」の対象になるにとどまり(このような場合の警察官の手続について「瞥察等が取り扱う死体の死因又は身の調査等に関する法律」[平成24年法律34号]及び「死体取扱規則」[平成25年国家公安委員会規則4号]がある),刑訴法上の検視(「司法検視」)の対象ではない。実際には、検視の対象となる可能性のある死体が発見されると警察官に届出がなされるのが大部分であろう。この場合,普察官は前記「察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律」に基づき、当該死体を取り扱うことが適当と認められる警察署長にその旨を報告し,察署長はその死体(犯罪捜査の対象となる死体を除く)の死因を明らかにするため必要があると認めるときは、医師等をして、体液等を採取して行う薬毒物検査、死亡時画像診断等の検査を行わせることになる。しかし、当該死体が「変死体」であるときは、司法検視が行われることになるので,後記「検視規則」に基づき、察署長から検察官に通知をし,検察官が司法検視の要否を判断することになる。
検察官は、検察事務官または司法察員に検視をさせることができる(法
229条2項。「代行検視」という)。なお、察官が変死体がある旨検察官に対して通知する場合や検察官の命を受けて代行検視する場合の手続について「検視
規則」(昭和33年国家公安委員会規則3号)がある。
検視を行うについては、変死体の存在とその見分の必要性・緊急性を理由に、住居主または看守者の承諾がなくとも令状なしに変死体の存在する場所に立ち入ることができるという見解が有力である。しかし、捜査そのものでなくとも、私的領域への侵入に対する憲法 35条の保障は及ぶはずであるから、疑問であろう。