「相手方との会話を黙って録音してもよいか」 と間かれたら?
2025年11月19日
「若手弁護士が法律相談で困ったら開く本 」狩倉博之 2023年
ISBNISBN 9784313512108 C2032
A:秘密録音がー般的に禁止されるわけではなく、 当然には証拠能力を否定されないが、 その証拠価値は相手方に告知して録音した場合よりも低く評価される可能性がある。 また、録音の手段・方法が著しく反社会的と認められる場合には証拠能力を否定され、程度によっては慰謝料を請求されかねない。 録音の目的・態様・利用方法等には注意が必要であることは指摘しておくべきてある。
「盗聴」は、会話の両当事者に知られることなく、また、両当事者の同意を得ることなく会話の内容を録音することで、違法であるが、自分自身と相手方との交渉過程や会話の内容を相手方に無断で録音することは、それ自体が法に触れるということはない。よって、相談者が自分自身と相手方との会話を黙って録音すること自体が、直ちに違法となるわけではない。
録音を裁判の証拠とする場合、「その証拠が、著しく反社会的な手段を用いて人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって採集されたものであるときは、 それ自体違法の評価を受け、その証拠能力を否定されてもやむを得ない」 (東京高判昭和52年7月15日判時867号60頁) とされており、 録音の日的及び手段・方法によっては、 裁判において録音の証拠能力が否定される場合がある。 他方で、 反社会的とまではいえない場合、 直ちに証拠能力が否定きれるわけではないが、相手方が知らず、その同意を得ていない録音であることから、同意を得た録音に比ペ、 その証拠価値は減殺されうる。
なお、録音の手段・方法等が反社会的と評価された場合、 証拠能力を欠くことに加え、人格権侵害により感謝料を請求される可能性があるので、録音の目的・態様・利用方法等には注意が必要であることは指摘しておくべきである。
(井上志穗・狩會博之)
「盗聴」は、会話の両当事者に知られることなく、また、両当事者の同意を得ることなく会話の内容を録音することで、違法であるが、自分自身と相手方との交渉過程や会話の内容を相手方に無断で録音することは、それ自体が法に触れるということはない。よって、相談者が自分自身と相手方との会話を黙って録音すること自体が、直ちに違法となるわけではない。
録音を裁判の証拠とする場合、「その証拠が、著しく反社会的な手段を用いて人の精神的肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって採集されたものであるときは、 それ自体違法の評価を受け、その証拠能力を否定されてもやむを得ない」 (東京高判昭和52年7月15日判時867号60頁) とされており、 録音の日的及び手段・方法によっては、 裁判において録音の証拠能力が否定される場合がある。 他方で、 反社会的とまではいえない場合、 直ちに証拠能力が否定きれるわけではないが、相手方が知らず、その同意を得ていない録音であることから、同意を得た録音に比ペ、 その証拠価値は減殺されうる。
なお、録音の手段・方法等が反社会的と評価された場合、 証拠能力を欠くことに加え、人格権侵害により感謝料を請求される可能性があるので、録音の目的・態様・利用方法等には注意が必要であることは指摘しておくべきである。
(井上志穗・狩會博之)