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弁護士の知識

本人以外から相談があった場合の注意点は?

2025年11月19日

「若手弁護士が法律相談で困ったら開く本 」狩倉博之 2023年
ISBNISBN 9784313512108 C2032

A:本人との関係及び本人が相談に来られない理由を確認する。その際、本人と来所した人物の利害が対立していないかには注意が必要である。回答にあたっては、本人から聴取できていないことを前提とするものであることを明確にして、端的に行う。

 法律相談に来た者と本人がどのような関係にあるか、本人が相談に来られず、本人ではない者が相談に来た理由を確認する。本人が病気等で相談に来ることが困難であり、やもを得ず近しv親族が相談に来ているといった場合には、来所した者との間で相談を行うことは不合理とはいえない。
 他方で、本人が相談に来ることができない合理的な理由がないにもかかわらず、また、親族ではない者が相談に来ているような場合には、例えば、「弁護士が○○と言っていたので、○○をしろ」といったように、自身の主張・要求に本人を従わせるといった目的に相談を利用しようとしている場合もありうる。特に、本人と利害が対立する者の場合には、そのような危険性が高いので、本人と利害が対立している者からの相談には注意を払うとともに、相談を行う場合には,その者自身の相談として相談を受けることが適切である。
 なお、相談に来た者が本人と利害対立がなく、相談を受けることに問題がない場合であっても、他人を介することで事実関係を正確に把握できないことがあるため、相談にあたっては、あくまでも本人ではない者から聴取した事実を前提にしており、前提となる事実が変われば結論も変わりうることを十分に説明しておく。また、本人に相談内容を伝える際に誤りが生じないよう、結論は端的にわかりやすく述べるようにし、可能であれば本人自身が相談の機会を持っよう勧めるようにする。
 (木村 悠・狩倉博之)