国外財産
2025年12月12日
Q&A 弁護士のための相続税務70
中央経済社
Q:国外の財産を相続した場合でも、日本の相続税の課税対象となりま すか。また、国外の財産について、相続税の計算上、その邦貨換算はどの ようにすればよいですか。
A:無制限納税義務者に該当する場合には、全世界の財産が相続税の課税対 象となるため、国外に所在する財産であっても、日本の相続税が課されます。 一方、制限納税義務者に該当する場合には、日本に所在する財産のみが相続税 の課税対象となるため、国外財産は相続税の計算に含める必要はありません。 また、国外の財産の邦貨換算については、相続開始時における最終の外国為 替相場のうち、対顧客直物電信買相場 (TTB) を使用して計算します。
解説
(1) 納税義務者 前記で解説したとおり、相続税の納税義務者は、無制限納税義務者と制限納 税義務者とに大きく区分されます。無制限納税義務者に該当する場合には、 全世界の財産が相続税の課税対象となります (相法1の3 2)。
(2) 制限納税義務者が控除できる債務 (相法13②) 日本の相続税の計算上、制限納税義務者が控除できる債務は、以下の債務に 限られます。葬式費用は控除することができません。
① 取得した財産に係る公租公課
② 取得した財産を目的とする留置権等で担保される債務
③ ①②の債務を除くほか、その財産の取得、維持又は管理のために生じた債務
④ 取得した財産に関する贈与の義務
⑤ ①から④の債務のほか、被相続人が死亡の際日本に有していた営業所等に係 る言葉と上の債務
(3) 邦貨換算
国外にある財産の邦貨換算は、原則として、納税義務者の取引金融機関(外 貨預金等、取引金融機関が特定されている場合には、その取引金融機関)が公 表する課税時期における最終の為替相場(課税時期にその相場がない場合には、 課税時期前のその相場のうち、課税時期に最も近い日のその相場)によります (相基通4-3)。
財産の換算については、対顧客直物電信買相場 (TTB) を使用し、債務や 葬式費用の換算については、対顧客直物電信売相場 (TTS) を使用します。
【計算例】 相続開始日の為替相場 TTB: 150.00 TTS: 151.00 TTM: 150.50
相続財産 預金 $10,000→$10,000×150.00 = 1,500,000円
相続債務 借入金 $3,000→$3,000×151.00 = 453,000円
A:無制限納税義務者に該当する場合には、全世界の財産が相続税の課税対 象となるため、国外に所在する財産であっても、日本の相続税が課されます。 一方、制限納税義務者に該当する場合には、日本に所在する財産のみが相続税 の課税対象となるため、国外財産は相続税の計算に含める必要はありません。 また、国外の財産の邦貨換算については、相続開始時における最終の外国為 替相場のうち、対顧客直物電信買相場 (TTB) を使用して計算します。
解説
(1) 納税義務者 前記で解説したとおり、相続税の納税義務者は、無制限納税義務者と制限納 税義務者とに大きく区分されます。無制限納税義務者に該当する場合には、 全世界の財産が相続税の課税対象となります (相法1の3 2)。
(2) 制限納税義務者が控除できる債務 (相法13②) 日本の相続税の計算上、制限納税義務者が控除できる債務は、以下の債務に 限られます。葬式費用は控除することができません。
① 取得した財産に係る公租公課
② 取得した財産を目的とする留置権等で担保される債務
③ ①②の債務を除くほか、その財産の取得、維持又は管理のために生じた債務
④ 取得した財産に関する贈与の義務
⑤ ①から④の債務のほか、被相続人が死亡の際日本に有していた営業所等に係 る言葉と上の債務
(3) 邦貨換算
国外にある財産の邦貨換算は、原則として、納税義務者の取引金融機関(外 貨預金等、取引金融機関が特定されている場合には、その取引金融機関)が公 表する課税時期における最終の為替相場(課税時期にその相場がない場合には、 課税時期前のその相場のうち、課税時期に最も近い日のその相場)によります (相基通4-3)。
財産の換算については、対顧客直物電信買相場 (TTB) を使用し、債務や 葬式費用の換算については、対顧客直物電信売相場 (TTS) を使用します。
【計算例】 相続開始日の為替相場 TTB: 150.00 TTS: 151.00 TTM: 150.50
相続財産 預金 $10,000→$10,000×150.00 = 1,500,000円
相続債務 借入金 $3,000→$3,000×151.00 = 453,000円