上場株式の評価
2025年11月19日
Q&A 弁護士のための相続税務70
中央経済社
Q: 私は会社経営の傍ら株取引を行っています。高齢となってきたため。 一度、私が所有する株式の相続税の評価を行ってみたいと思います。
A: 上場株式の相続税評価額は、原則として、①相続開始日の最終価格,② 相続開始日の属する月の最終価格の月平均額、③相続開始日の属する月の前月 の最終価格の月平均額,④相続開始日の属する月の前々月の最終価格の月平均 額の四つの価格の中で、最も低い価格により評価します。なお、相続開始日前 後に株式の割当て・無償交付・配当金交付(以下「株式の割当て等」といいま す。)が行われる場合には、一定の調整計算を行います。
解説
(1) 上場株式の相続税評価
① 相続税評価額
上場株式とは、金融商品取引所に上場されている株式をいいます(評基通181(1))。上場株式の相続税評価額は、次の四つの価格の中で最も低い価格をその評価額とします (評基通169(1))。
・相続開始日の最終価格
・相続開始日の属する月の最終価格の月平均額
・相続開始日の属する月の前月の最終価格の月平均額
・相続開始日の属する月の前々月の最終価格の月平均額
② 取引所の選択
評価を行う上場株式銘柄が2以上の金融商品取引所に上場されている場合は、納税義務者が選択した金融商品取引所が公表する価格により、その上場株式の評価を行うことができます (評基通169(1))。 ただし、複数の金融商品取引所に上場されており、「課税時期の最終価格」及び「最終価格の月平均額」がある取引所と、取引数が少ない等の理由によりこれらの価格がない取引所がある場合には、これらの価格がない取引所を選択することはできません。
③ 相続開始日に最終価格がない場合
相続開始日が休日等で取引がない、休日等でないものの株式の取引がなかったことにより相続開始日に最終価格がない場合は、原則として、相続開始日の前日以前又は翌日以後の最終価格のうち、相続開始日に最も近い日の最終価格により評価します。なお、3連休の中日のように相続開始日に最も近い日の最終価格が2ある場合には、その平均額により評価します (評基通171(1))。
④ 相続開始日前後に株式の割当て等がある場合の調整計算
相続開始日の前後で、株式の割当て・無償交付・配当金交付が行われる上場株式の銘柄については、その評価額について一定の調整計算を行います。
⑤ 証券会社から交付される参考価格情報
相続税申告のために証券会社に対し残高証明書の交付を請求すると、併せて相続開始日の終値や相続開始日の属する月の終値平均などを記載した参考価格情報の提供を受ける場合があります。この参考価格情報については、上記②の複数の金融商品取引所に上場している場合の取扱い、上記④の株式の割当て等がある場合の調整計算が考慮されていないものも散見されます。 実務上は、会社四季報等で、上場している金融商品取引所,株式の割当て等の有無を確認し、これらに該当する場合には、参考価格情報を発行する証券会社に対し、これらの調整計算が行われているか確認する必要があります。
(2) 海外上場株式・ETFの評価
海外上場株式・ETFについても、上場株式の評価に準じて評価を行います(評基通5-2,199(注))。
A: 上場株式の相続税評価額は、原則として、①相続開始日の最終価格,② 相続開始日の属する月の最終価格の月平均額、③相続開始日の属する月の前月 の最終価格の月平均額,④相続開始日の属する月の前々月の最終価格の月平均 額の四つの価格の中で、最も低い価格により評価します。なお、相続開始日前 後に株式の割当て・無償交付・配当金交付(以下「株式の割当て等」といいま す。)が行われる場合には、一定の調整計算を行います。
解説
(1) 上場株式の相続税評価
① 相続税評価額
上場株式とは、金融商品取引所に上場されている株式をいいます(評基通181(1))。上場株式の相続税評価額は、次の四つの価格の中で最も低い価格をその評価額とします (評基通169(1))。
・相続開始日の最終価格
・相続開始日の属する月の最終価格の月平均額
・相続開始日の属する月の前月の最終価格の月平均額
・相続開始日の属する月の前々月の最終価格の月平均額
② 取引所の選択
評価を行う上場株式銘柄が2以上の金融商品取引所に上場されている場合は、納税義務者が選択した金融商品取引所が公表する価格により、その上場株式の評価を行うことができます (評基通169(1))。 ただし、複数の金融商品取引所に上場されており、「課税時期の最終価格」及び「最終価格の月平均額」がある取引所と、取引数が少ない等の理由によりこれらの価格がない取引所がある場合には、これらの価格がない取引所を選択することはできません。
③ 相続開始日に最終価格がない場合
相続開始日が休日等で取引がない、休日等でないものの株式の取引がなかったことにより相続開始日に最終価格がない場合は、原則として、相続開始日の前日以前又は翌日以後の最終価格のうち、相続開始日に最も近い日の最終価格により評価します。なお、3連休の中日のように相続開始日に最も近い日の最終価格が2ある場合には、その平均額により評価します (評基通171(1))。
④ 相続開始日前後に株式の割当て等がある場合の調整計算
相続開始日の前後で、株式の割当て・無償交付・配当金交付が行われる上場株式の銘柄については、その評価額について一定の調整計算を行います。
⑤ 証券会社から交付される参考価格情報
相続税申告のために証券会社に対し残高証明書の交付を請求すると、併せて相続開始日の終値や相続開始日の属する月の終値平均などを記載した参考価格情報の提供を受ける場合があります。この参考価格情報については、上記②の複数の金融商品取引所に上場している場合の取扱い、上記④の株式の割当て等がある場合の調整計算が考慮されていないものも散見されます。 実務上は、会社四季報等で、上場している金融商品取引所,株式の割当て等の有無を確認し、これらに該当する場合には、参考価格情報を発行する証券会社に対し、これらの調整計算が行われているか確認する必要があります。
(2) 海外上場株式・ETFの評価
海外上場株式・ETFについても、上場株式の評価に準じて評価を行います(評基通5-2,199(注))。