ごくごく普通の浮気調査…のはずが
2025年11月19日
事件はラブホで起きている
探偵小沢
この話は僕が大手探偵会社に所属していたころに体験した、不可解な浮気調査のエピソード。
現在は私立探偵として活動する僕は、直接依頼者さんと会って契約したり、調査の作戦立案やメンタルコントロールも含めたりする日常的な働き方をしている。だけど、当時の探偵会社にから降りてきた案件を、ひたすら調査するだけの〝雇われ探偵(調査員)〟だった。
第10章でも書いたけど、探偵会社は縦割りの組織構造で、依頼者さんと直接やり取りをするのは営業担当の人間。その営業担当から調査部の上司に連絡がいき、さらにそこから末端の調査員に情報が降りてくる、といった感じ。なので、上司からの指示で当時の僕はその不可解な調査に関わることになった。
僕に割り振られた調査は「別居中の奥さんが不倫をしている証拠を撮ってほしい」という、旦那さんからの依頼だった。すでに夫婦仲が悪く別居中だけど、「週末になると別居先に不倫相手の男を連れ込んでいる疑いがある」のだという。依頼内容としてはよくある浮気調査だった。手の男を連れ込んでいる疑いがある、のだという。依頼内容としてはよくある浮気調査だった。
調査対象者である奥さんは区役所で働く公務員で土日が休みなので、僕は金曜日の夕方、奥さんが働く役所で張り込みをした。しばらくすると、奥さんが同僚たちと一緒に出てきた。尾行、開始だ。
奥さんは女性の同僚、男性の同僚の3人で話しながら歩いている。奥さんは40代前半だけど、ふたりの同僚も同年代のように見えた。役所近くの駅に入ったところで奥さんは女性の同僚とは別れ、男性の同僚と一緒に電車に乗り込んだ。
(もしかすると、この男性の同僚が不倫相手なのかもしれないな……)
僕はさりげなく電車内のふたりに近づき、会話を盗み聞きした。
「経理部の〇〇君の仕事が雑で困っちゃってさー」
「〇〇の手続き申請の締め切りが来週までだから、急がないと――」
聞こえてくる会話の断片は、どれも仕事に関係することばかり。楽しそうに会話はしているけど、あくまで仲のいい同僚との会話といった感じで、肉体関係のある男女という雰囲気ではまったくなかった。それから数駅先の駅で、男性の同僚だけが電車を降りていった。
現在は私立探偵として活動する僕は、直接依頼者さんと会って契約したり、調査の作戦立案やメンタルコントロールも含めたりする日常的な働き方をしている。だけど、当時の探偵会社にから降りてきた案件を、ひたすら調査するだけの〝雇われ探偵(調査員)〟だった。
第10章でも書いたけど、探偵会社は縦割りの組織構造で、依頼者さんと直接やり取りをするのは営業担当の人間。その営業担当から調査部の上司に連絡がいき、さらにそこから末端の調査員に情報が降りてくる、といった感じ。なので、上司からの指示で当時の僕はその不可解な調査に関わることになった。
僕に割り振られた調査は「別居中の奥さんが不倫をしている証拠を撮ってほしい」という、旦那さんからの依頼だった。すでに夫婦仲が悪く別居中だけど、「週末になると別居先に不倫相手の男を連れ込んでいる疑いがある」のだという。依頼内容としてはよくある浮気調査だった。手の男を連れ込んでいる疑いがある、のだという。依頼内容としてはよくある浮気調査だった。
調査対象者である奥さんは区役所で働く公務員で土日が休みなので、僕は金曜日の夕方、奥さんが働く役所で張り込みをした。しばらくすると、奥さんが同僚たちと一緒に出てきた。尾行、開始だ。
奥さんは女性の同僚、男性の同僚の3人で話しながら歩いている。奥さんは40代前半だけど、ふたりの同僚も同年代のように見えた。役所近くの駅に入ったところで奥さんは女性の同僚とは別れ、男性の同僚と一緒に電車に乗り込んだ。
(もしかすると、この男性の同僚が不倫相手なのかもしれないな……)
僕はさりげなく電車内のふたりに近づき、会話を盗み聞きした。
「経理部の〇〇君の仕事が雑で困っちゃってさー」
「〇〇の手続き申請の締め切りが来週までだから、急がないと――」
聞こえてくる会話の断片は、どれも仕事に関係することばかり。楽しそうに会話はしているけど、あくまで仲のいい同僚との会話といった感じで、肉体関係のある男女という雰囲気ではまったくなかった。それから数駅先の駅で、男性の同僚だけが電車を降りていった。