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探偵の知識

離婚バトルにおける真の主戦場、「婚姻費用」

2025年11月19日

事件はラブホで起きている
探偵小沢

離婚バトルにおける真の主戦場、それが「婚姻費用」だ。弁護士業界では略して「コンピ」と呼ばれている。この婚姻費用、民法では次のように書かれている。
「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」
要するに、収入差があっても夫婦は同じ生活水準を維持しろって話。しかも、たとえ夫婦が別居中でもこの義務は消えない。だから、稼いでいるほう(たいていは旦那)が、稼いでいないほう(たいていは奥さん)に対して、毎月一定額の〝生活費〟を支払い続けなければならない。

そしてこのコンピ、慰謝料と違って稼ぎに比例して金額がどんどんと上がっていく。サラリーマンよりも自営業のほうが、収入に応じた婚姻費用の金額は高くなる傾向にある。また、子どもがいる場合はその人数や年齢に応じて上乗せもされる(養育費は離婚成立後の呼び方で、離婚前の子育て費用はすべて婚姻費用に含まれる)。

ちなみに、コンピの金額はかなり機械的に決まるので、裁判所の「算定表」に年収と子どもの年齢を当てはめれば、目安が簡単に確認できる。気になった人は「婚姻費用 算定表」でググってみるといい。
しかもこのコンピ、離婚が成立するまでずっと払い続ける義務がある。あらかじめ公正証書や家庭裁判所の調停調書があれば、支払いが滞ったときにサクッと貯金や給料から差し押さえ可能。合意がまとまらない場合は、裁判所の審判でも対応できる。

そして、ここで効いてくるのが、探偵が撮った〝不倫の証拠〟。相手を有責配偶者にできれば、あちらからは離婚を請求できなくなる。だから、あとは「私は不倫されて傷ついたけれど(これはホント)、まだ旦那のことを愛しているので(これは嘘でもいいw)、まだ離婚はしたくないんです。泣」とか言って、離婚調停を引き延ばせばいい。そうすれば、毎月コンピが入ってくるんだから、時間が味方になってくれる。
探偵を使って不倫の証拠をつかんだら、さっさと別居してしまおう。不倫した旦那を家から追い出せたら、ベスト。

離婚裁判は想像以上に長引くもので、トータルで2〜3年は平気でかかったりするし、泥沼化すれば5年以上に及ぶケースもあり。慰謝料は200万しかなくても、不倫した人間の収入差があれば、それにプラスしてもらえるコンピの総額は数ヵ月、数年にわたって積み重なっていく。
だから、不倫の落とし前として、金銭的な最大効率化を目指すなら、このいわゆる「コンピ地獄」に叩き落としてやるのが、いちばん熱い。
不倫が原因で離婚というのは、そう簡単に成立させちゃいけない。