探偵の知識

聞き込みも探偵にとって重要なスキルのひとつである。
探偵は、張り込みや尾行だけではなく、時に聞き込みを活用して依頼者さんが欲しがる情報を入手したりする。主に浮気相手の自宅が特定できたあとに、浮気相手のより詳しい情報を調べる時に聞き込みを行なうことが多い。
特に浮気相手が実家暮らしであったり、長く自宅に住んでいる場合には聞き込みが効力を発揮する。近隣住民に聞き込みをすることによって尾行や張り込みでは知り得ない情報が入手できるからだ。
近所での評判、家族構成、浮気相手の噂話や人となり、幼少期の印象やご近所エピソード、外見、家庭環境、怪我や病歴、通っていた学校、以前勤めていた勤務先、婚姻歴や子どもの有無、そのほかにも思いがけない情報や過去に遡っての情報が入手できるのが聞き込みなのだ。
ところで、「聞き込み」と聞いて、探偵よりも警察をイメージする人が多いかもしれない。ドラマとかでよく観る警察手帳を出して、「ちょっと、お話をお聞かせ願えませんか？」的なアレである。でも、ズルいよ、警察は。警察手帳を見せたら簡単に聞き込みができちゃうんだもん。
探偵の聞き込みは、警察みたいに簡単にはいかないからね。
「すみません、僕は探偵で今、聞き込み調査をしているんですが……」
とか言われても、「は？」って感じだろうし、だいいち、怪しすぎる。
だから、探偵の聞き込みは、原則として素性を明かさないで行なうことが多い。こちらとしては調査をしていること自体がバレたくないし、こっそりと目的の情報を入手したい。だから、聞き込みは「役づくり」が重要となる。
まず聞き出したい情報から逆算して、どんな人物として接すれば相手が話してくれるかを考える。そして、その人物像の設定に沿った服装や風貌で聞き込みに臨む。ポイントは具体性であること。
探偵が近隣住民の聞き込みをしていく手順として、対象者の家から少し離れたエリアの住民から聞き込みをスタートさせる。そして、順番に少しずつ対象者の家に近いエリアの住民へと聞き込んでいくのがセオリー。
しょっぱなから対象者のお隣さんに聞き込みをしちゃうと、対象者の家族とめちゃくちゃ仲が良かった場合、いきなり情報が筒抜けになっちゃうなんてこともある。近隣と住民の雰囲気を把握しながら、慎重に進めていくのがポイント。