娘の婚約者の素顔
2025年11月19日
図解 秘探偵・調査マニュアル
渡邉 直美
「娘の結婚相手の素行調査をしてほしい」という依頼は多い。しかし、依頼者が求めてくる"調査”の内容は以前とはずいぶん違ってきた。数年前までは、婚約相手の素行調査といえばもっぱら女性関係のことを指していたのだが、最近ではお金に関することがほとんど。お給料の額を知りたい、借金はかかえていないだろうか
?、浪費癖がないかどうかカードの使用状況を調べてほしい•••・・等々。私にはどうでもいいように思えるのだが、なかには先方の実家の経済状況を調べてほしいという依頼もある。
なかでも数年前に受けた依頼は奇妙だった。ごく普通の母親とおばあちゃんが一緒に「今度、娘が3歳年上の男と結婚するのだが、相手の素行を潤べてほしい」と
いうごくごくありふれた依頼をしに来たのだ。不思議だったのは、相手の男性の名前と年齢しか知らないということ。結婚相手なのだから住所くらい知っていてもおかしくないのに・・・・・と私は思った。むろん、データが少なければ調査は手間取るから、そのぶん費用もかさむことになる。私がそのことを説明し、「どこまでお調べしましょうかーと聞いたところ、ふたりは「100万円で調べられるところまで調べてください」と言って帰っていった。
私はまず、娘さんの尾行から開始した。数日後、対象者と接触。尾行の相手を対象者に切り替え、難なく彼の家を突き止めた。表札を確かめたところ、たしかに依頼者から聞いていた名前と一致する。住所と名前さえわかってしまえば、もうこのテの調査は8割方終了したものと同じだ。私は独自の調査網を利用して、対象者の勤務先、給与額、借金の有無、カードの使用状況、実家の住所などを潤べることに成功した。
対象者は、中堅の電気会社勤務の営業マン、給与額は約20万円、借金はゼロ、カードの使用状況もごくごくあたりまえ、実家もサラリーマン家庭という、いたって
”キレイ"なものであった。
翌日、報告書を依頼者に提出したところ、彼女たちは妙なことを言いはじめた。
「本当に何もないの!?: いや、絶対にあるハズだわ。前科もないの?どこか弱点があるハズよ!」彼女たちは執拗に食い下がる。調査内容が簡単だったため、費用がまだ予定の100万円には達していなかった。そこで私は再調査を開始した。しかし......本当に何もなかった。いまどきの男性としては珍しいほどなにもなかった。数日後、私は「再調査いたしましたが、何もありませんでした」と依頼者たちに報告をした。
すると、彼女たちの態度が急変した。
「まったく頼りにならないね!!!何も出てこないんだったらお金を返し
てもらうよ!!」
こちらには何の落ち度もないことを説明し、その場は収まったのだが、それから毎日のように彼女たちから「金を返せ!!」という電話がかかり続けた。このままでは埒があかないと思った私は、詳しく状況説明をするために2人の家へと向かった。
チャイムを押すとしばらくしてドアが開いた。私はそこから出てきた母親の顔を見て驚いた。なんと、事務所に来たときとはまったく違うド派手メイクだったからだ。
突然の私の訪問に向こうもいたく驚いたらしく、しどろもどろ。結局(厚化粧を見られたせいだろうか!)、「もうお金のことはいいから帰ってくれ!!!」と言われ、家を後にしたのだった。ますます彼女たちに対する疑問が増えてしまった私は、自分の好奇心を満たすために彼女たちの素性を調べてしまった。すると......結果は驚くべきものだった!依頼者の2人はホテトルを経営しており、そこで自分の娘を働かせていた(!!)。ある日、対象者が娘と結婚させてくれと、足抜け料がわりに500万円を持ってきたというのだ。これは、もしかしたらもっと絞り取れるかも・・•・••と邪推した2人は、私に彼の素性を調べさせたというわけ。その結果、お金持ちでもなんでもなかったためにガッカリし、調査料の支払いを渋ったということなのだ。
自分の親に強要されていたとはいえ、風俗嬢をやっていたことを知りつつ結婚を申し込んでくれ、しかもそんな親に自分の預金から手切れ金まで出してくれるなんて、いい男性だと思いません!今も彼らは幸せに生活しているらしい。
?、浪費癖がないかどうかカードの使用状況を調べてほしい•••・・等々。私にはどうでもいいように思えるのだが、なかには先方の実家の経済状況を調べてほしいという依頼もある。
なかでも数年前に受けた依頼は奇妙だった。ごく普通の母親とおばあちゃんが一緒に「今度、娘が3歳年上の男と結婚するのだが、相手の素行を潤べてほしい」と
いうごくごくありふれた依頼をしに来たのだ。不思議だったのは、相手の男性の名前と年齢しか知らないということ。結婚相手なのだから住所くらい知っていてもおかしくないのに・・・・・と私は思った。むろん、データが少なければ調査は手間取るから、そのぶん費用もかさむことになる。私がそのことを説明し、「どこまでお調べしましょうかーと聞いたところ、ふたりは「100万円で調べられるところまで調べてください」と言って帰っていった。
私はまず、娘さんの尾行から開始した。数日後、対象者と接触。尾行の相手を対象者に切り替え、難なく彼の家を突き止めた。表札を確かめたところ、たしかに依頼者から聞いていた名前と一致する。住所と名前さえわかってしまえば、もうこのテの調査は8割方終了したものと同じだ。私は独自の調査網を利用して、対象者の勤務先、給与額、借金の有無、カードの使用状況、実家の住所などを潤べることに成功した。
対象者は、中堅の電気会社勤務の営業マン、給与額は約20万円、借金はゼロ、カードの使用状況もごくごくあたりまえ、実家もサラリーマン家庭という、いたって
”キレイ"なものであった。
翌日、報告書を依頼者に提出したところ、彼女たちは妙なことを言いはじめた。
「本当に何もないの!?: いや、絶対にあるハズだわ。前科もないの?どこか弱点があるハズよ!」彼女たちは執拗に食い下がる。調査内容が簡単だったため、費用がまだ予定の100万円には達していなかった。そこで私は再調査を開始した。しかし......本当に何もなかった。いまどきの男性としては珍しいほどなにもなかった。数日後、私は「再調査いたしましたが、何もありませんでした」と依頼者たちに報告をした。
すると、彼女たちの態度が急変した。
「まったく頼りにならないね!!!何も出てこないんだったらお金を返し
てもらうよ!!」
こちらには何の落ち度もないことを説明し、その場は収まったのだが、それから毎日のように彼女たちから「金を返せ!!」という電話がかかり続けた。このままでは埒があかないと思った私は、詳しく状況説明をするために2人の家へと向かった。
チャイムを押すとしばらくしてドアが開いた。私はそこから出てきた母親の顔を見て驚いた。なんと、事務所に来たときとはまったく違うド派手メイクだったからだ。
突然の私の訪問に向こうもいたく驚いたらしく、しどろもどろ。結局(厚化粧を見られたせいだろうか!)、「もうお金のことはいいから帰ってくれ!!!」と言われ、家を後にしたのだった。ますます彼女たちに対する疑問が増えてしまった私は、自分の好奇心を満たすために彼女たちの素性を調べてしまった。すると......結果は驚くべきものだった!依頼者の2人はホテトルを経営しており、そこで自分の娘を働かせていた(!!)。ある日、対象者が娘と結婚させてくれと、足抜け料がわりに500万円を持ってきたというのだ。これは、もしかしたらもっと絞り取れるかも・・•・••と邪推した2人は、私に彼の素性を調べさせたというわけ。その結果、お金持ちでもなんでもなかったためにガッカリし、調査料の支払いを渋ったということなのだ。
自分の親に強要されていたとはいえ、風俗嬢をやっていたことを知りつつ結婚を申し込んでくれ、しかもそんな親に自分の預金から手切れ金まで出してくれるなんて、いい男性だと思いません!今も彼らは幸せに生活しているらしい。