盗聴(発見)のテクニック
2025年11月19日
図解 秘探偵・調査マニュアル
渡邉 直美
盗聴というとスパイや探偵を連想するかもしれない。スパイのほうは至極当然かもしれないが、探偵のほうは、ある一面では間違っているが、ある一面では当たっている、といったところだ。というのも、現在の日本の法律に照らし合わせてみると、探偵が率先して本格的な盗聴を行うのは違法行為(不法侵入や電波法違反など)になるので、わがガル・エージェンシーでは調査のために盗聴をしたりはしない。
が、しかし、盗聴に関する技術や知識については、最先端のものをストックしているのだ。そう、仕掛けられた盗聴器を発見して外すのが目的なのだ。
盗聴器発見の依頼は少なくない。その多くが、いわゆる盗聴ノイローゼ"にすぎないのだが、盗聴器から発言されている電波が飛び交っているのも事実である。
だから、盗聴防止のためにも、探偵を名乗る以上、ある程度は勉強しておかなければならない。
まず、一言で盗聴といっても、その種類は大きく2つに分かれる。室内盗聴と創話盗聴だ。それぞれ、文字通り、室内の音声と電話の音声を盗聴する点が違う。もちろん仕掛けかたも違う。室内盗聴のほうは、部屋に侵入して取り付けるか、盗聴器を仕込んだグッズをプレゼントするという方法で、電話盗聴のほうは、盗聴する電話機か、その電話回線上の屋外にある保安器や電話回線の集合配電盤に仕掛けるという方法である。
盗聴器の種類も、その方式によって、無線式、有線式、直接式の3つに分類することができる。無線式というのが、最もポピュラーなイメージの盗聴器である。原理はワイヤレスマイクといっしょで、FM放送バンド、VHF帯/UHF帯などの周波数帯域を使用している。なかには、これらの周波数帯域とは違う帯域の盗聴器を製作するケースや、デジタル盗聴器が使用され始めている。室内盗聴にも電話盗聴にも利用されている。
次の有線式というのは、電波を使用せず、有線を引いて会話内容を聞くタイプ。
ほとんど市販されていない上に仕掛けには手間がかかるが、確実に盗聴できて第三者には盗聴できないのが特徴。室内や電話にマイクを仕掛け、有線で音声信号を引き、アンプで増幅させるという仕組みになっている。
最後の直接的というのは、テープレコーダー(音声を認識して自動的に録音を開始するもの)やコンクリートマイク(隣の部屋の壁面に設置して盗聴する)を使用したもの。非常にローテクだが、お手軽にできてしまう盗聴である。しかも、ほかの盗聴器に比べて合法的な仕掛けをしやすいのも特徴。たとえば、私たち探偵が仕掛けたとしたら、プライバシーの侵害などが問題になるかもしれないが、旦那さんから「留守中の奥さんの様子を知りたい」などというリクエストを受けた場合、「この直接的な方法なら、簡単に様子をチェックすることができる」と、アドバイスすることができる。
ほかにも、オープンスペースの会話を捉える超指向性の望遠マイク、レーザー光線を目的の部屋の窓などに当てて反射させ、窓の振動から屋内の会話を盗聴するレーザー盗聴器などもある。しかし、これらの盗聴器を個人宅に駆使することはほとんどない。
さて、そこで盗聴器発見である。その方法としてもっとも一般的なのは、盗聴発見機を使用すること。先述のとおり、盗聴器としてもっともポピュラーなのは無線式なのだが、その盗聴器から飛ばされている電波を探すことによりあぶりだすというわけである。電波を飛ばさない有線式や直接式には通用しない。
いろいろな種類の無線式盗聴器が市販されているのと同様に、市販されている盗聴発見機のほうもいろいろである。だが、その形態から、ハンディタイプと箱型/アタッシュタイプに分けることができる。それぞれ、形態だけでなく、電波を発見する方法論も違っているのだ。ハンディタイプのものに多いのは、電界強度計タイプというものである。文字通り、竈界の強さを計る機械で、簡単にいえば、どのくらいの電界(電波)が出ているのかを調べる機械である。電界強度計を盗聴器に近づけると電波を計測して針が振れる。盗聴器からの距離が遠ければ針の振れ幅は小さいが、近づくにつれて針の振れ幅が大きくなっていくという仕組みになっている。メーターで電波の強さを示すだけでなく、LEDを点滅させたり、ブザー音を鳴らしたりして発源を示すタイプのものが多い。
箱型/アタッシュタイプの盗聴発見器に多いのは広帯域受信機タイプ。広帯域受
倉機というのは、あらゆる周波数帯の電波を受信できる機械で、AM/FMラジオ放送やTV音声、アマチュア無線、盗聴波に使用されるVHF/UHF帯の電波など、それこそどんな電波帯も受付可能である。いわば、ラジオの親玉みたいなものだろう。そもそも、無線式の盗聴器を仕掛ける側は、その盗聴器から飛ばされた電波をキャッチして音声を盗み聞きするわけで、原理的には、小さなラジオ放送局からの音声を受倍しているようなもの。つまり、その放送局(=盗聴器)のチャンネル(=周波数帯)さえわかれば、放送を聴くことができる。それを利用して盗聴器を発見するのがこの機械。盗聴器に使用される周波数帯や周波数はほぼわかっているので、チューニングをして音声が漏れていないかどうか調べるというわけである。
この2種類の盗聴発見機を駆使して盗聴器を発見する手順としては、まず広帯域受后機タイプの発見機に、すでに知られている盗聴波周波数をいくつかプリセットしておき、順番に受していく。盗勝波を受官すると、室内の音声がスピーカーから出てくるかハウリングを起こす。うまく盗聴波が見つからないときは、受信場所を移動してみたり、受アンプを取り付けてみたり、アンテナを取り替えてみたりしてみる。
盗聴波が見つからなければ、その時点で終了だが、盗聴波が発見されたら、次は電界強度計タイプの発見機の出番。室内の壁面すべてを天井から床下までくまなく調べる。無線式盗聴器の仕掛けられやすい場所というのがいくつかある。電話機、コンセント、テーブルの下、電化製品、ヒューズボックスなどなど。あとは、プレゼントされたものは偽装品である可能性もあるので要注意である。
一方、有線式や直接式の盗聴器については、機械を駆使して発見することはできない。盗聴器が仕掛けられそうな場所を徹底的に調査することでしか、発見することはできない。高い場所のほうが音声を拾いやすいのでエアコンなどに取り付けることもあるし、テープルの下や電話機のように会話を拾いやすい場所であることも多い。
あと、注意したいのは、盗聴されている可能性のある室内で、盗聴や盗賊発見作業についての会話を行わないというと。当たり前のことだが、その会話も盗聴をしている人物には筒抜けになっている可能性がある。もしその人物がその会話を聞いていた場合、近くにいる可能性もあるので(電波を利用している盗聴は電波を飛ばせる距離に限界がある)、その段階で他の盗聴器を取り外されてしまう可能性がある。そして再度、気づかれなかった部分の盗聴器を仕掛けられることになるかもしれないのだ。盗聴をされている場合、必ずしも1ヵ所にしか盗聴器が仕掛けられているとは限らないのだ。盗聴発見作業を行っているときには、筆談でやりとりすることが基本なのである。
盗聴器を発見したとしても、仕掛け人を追及するのは難しく、”盗聴されている!!”と怪しんだ時点で、すでにプライバシーは侵害されているのだ。盗聴されないようにするには、盗聴器がどのように仕掛けられるのかという手口を知るしかないのである。
が、しかし、盗聴に関する技術や知識については、最先端のものをストックしているのだ。そう、仕掛けられた盗聴器を発見して外すのが目的なのだ。
盗聴器発見の依頼は少なくない。その多くが、いわゆる盗聴ノイローゼ"にすぎないのだが、盗聴器から発言されている電波が飛び交っているのも事実である。
だから、盗聴防止のためにも、探偵を名乗る以上、ある程度は勉強しておかなければならない。
まず、一言で盗聴といっても、その種類は大きく2つに分かれる。室内盗聴と創話盗聴だ。それぞれ、文字通り、室内の音声と電話の音声を盗聴する点が違う。もちろん仕掛けかたも違う。室内盗聴のほうは、部屋に侵入して取り付けるか、盗聴器を仕込んだグッズをプレゼントするという方法で、電話盗聴のほうは、盗聴する電話機か、その電話回線上の屋外にある保安器や電話回線の集合配電盤に仕掛けるという方法である。
盗聴器の種類も、その方式によって、無線式、有線式、直接式の3つに分類することができる。無線式というのが、最もポピュラーなイメージの盗聴器である。原理はワイヤレスマイクといっしょで、FM放送バンド、VHF帯/UHF帯などの周波数帯域を使用している。なかには、これらの周波数帯域とは違う帯域の盗聴器を製作するケースや、デジタル盗聴器が使用され始めている。室内盗聴にも電話盗聴にも利用されている。
次の有線式というのは、電波を使用せず、有線を引いて会話内容を聞くタイプ。
ほとんど市販されていない上に仕掛けには手間がかかるが、確実に盗聴できて第三者には盗聴できないのが特徴。室内や電話にマイクを仕掛け、有線で音声信号を引き、アンプで増幅させるという仕組みになっている。
最後の直接的というのは、テープレコーダー(音声を認識して自動的に録音を開始するもの)やコンクリートマイク(隣の部屋の壁面に設置して盗聴する)を使用したもの。非常にローテクだが、お手軽にできてしまう盗聴である。しかも、ほかの盗聴器に比べて合法的な仕掛けをしやすいのも特徴。たとえば、私たち探偵が仕掛けたとしたら、プライバシーの侵害などが問題になるかもしれないが、旦那さんから「留守中の奥さんの様子を知りたい」などというリクエストを受けた場合、「この直接的な方法なら、簡単に様子をチェックすることができる」と、アドバイスすることができる。
ほかにも、オープンスペースの会話を捉える超指向性の望遠マイク、レーザー光線を目的の部屋の窓などに当てて反射させ、窓の振動から屋内の会話を盗聴するレーザー盗聴器などもある。しかし、これらの盗聴器を個人宅に駆使することはほとんどない。
さて、そこで盗聴器発見である。その方法としてもっとも一般的なのは、盗聴発見機を使用すること。先述のとおり、盗聴器としてもっともポピュラーなのは無線式なのだが、その盗聴器から飛ばされている電波を探すことによりあぶりだすというわけである。電波を飛ばさない有線式や直接式には通用しない。
いろいろな種類の無線式盗聴器が市販されているのと同様に、市販されている盗聴発見機のほうもいろいろである。だが、その形態から、ハンディタイプと箱型/アタッシュタイプに分けることができる。それぞれ、形態だけでなく、電波を発見する方法論も違っているのだ。ハンディタイプのものに多いのは、電界強度計タイプというものである。文字通り、竈界の強さを計る機械で、簡単にいえば、どのくらいの電界(電波)が出ているのかを調べる機械である。電界強度計を盗聴器に近づけると電波を計測して針が振れる。盗聴器からの距離が遠ければ針の振れ幅は小さいが、近づくにつれて針の振れ幅が大きくなっていくという仕組みになっている。メーターで電波の強さを示すだけでなく、LEDを点滅させたり、ブザー音を鳴らしたりして発源を示すタイプのものが多い。
箱型/アタッシュタイプの盗聴発見器に多いのは広帯域受信機タイプ。広帯域受
倉機というのは、あらゆる周波数帯の電波を受信できる機械で、AM/FMラジオ放送やTV音声、アマチュア無線、盗聴波に使用されるVHF/UHF帯の電波など、それこそどんな電波帯も受付可能である。いわば、ラジオの親玉みたいなものだろう。そもそも、無線式の盗聴器を仕掛ける側は、その盗聴器から飛ばされた電波をキャッチして音声を盗み聞きするわけで、原理的には、小さなラジオ放送局からの音声を受倍しているようなもの。つまり、その放送局(=盗聴器)のチャンネル(=周波数帯)さえわかれば、放送を聴くことができる。それを利用して盗聴器を発見するのがこの機械。盗聴器に使用される周波数帯や周波数はほぼわかっているので、チューニングをして音声が漏れていないかどうか調べるというわけである。
この2種類の盗聴発見機を駆使して盗聴器を発見する手順としては、まず広帯域受后機タイプの発見機に、すでに知られている盗聴波周波数をいくつかプリセットしておき、順番に受していく。盗勝波を受官すると、室内の音声がスピーカーから出てくるかハウリングを起こす。うまく盗聴波が見つからないときは、受信場所を移動してみたり、受アンプを取り付けてみたり、アンテナを取り替えてみたりしてみる。
盗聴波が見つからなければ、その時点で終了だが、盗聴波が発見されたら、次は電界強度計タイプの発見機の出番。室内の壁面すべてを天井から床下までくまなく調べる。無線式盗聴器の仕掛けられやすい場所というのがいくつかある。電話機、コンセント、テーブルの下、電化製品、ヒューズボックスなどなど。あとは、プレゼントされたものは偽装品である可能性もあるので要注意である。
一方、有線式や直接式の盗聴器については、機械を駆使して発見することはできない。盗聴器が仕掛けられそうな場所を徹底的に調査することでしか、発見することはできない。高い場所のほうが音声を拾いやすいのでエアコンなどに取り付けることもあるし、テープルの下や電話機のように会話を拾いやすい場所であることも多い。
あと、注意したいのは、盗聴されている可能性のある室内で、盗聴や盗賊発見作業についての会話を行わないというと。当たり前のことだが、その会話も盗聴をしている人物には筒抜けになっている可能性がある。もしその人物がその会話を聞いていた場合、近くにいる可能性もあるので(電波を利用している盗聴は電波を飛ばせる距離に限界がある)、その段階で他の盗聴器を取り外されてしまう可能性がある。そして再度、気づかれなかった部分の盗聴器を仕掛けられることになるかもしれないのだ。盗聴をされている場合、必ずしも1ヵ所にしか盗聴器が仕掛けられているとは限らないのだ。盗聴発見作業を行っているときには、筆談でやりとりすることが基本なのである。
盗聴器を発見したとしても、仕掛け人を追及するのは難しく、”盗聴されている!!”と怪しんだ時点で、すでにプライバシーは侵害されているのだ。盗聴されないようにするには、盗聴器がどのように仕掛けられるのかという手口を知るしかないのである。