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探偵の知識

証拠写真のためには手段を選ばぬ熱血探偵

2025年11月19日

図解 秘探偵・調査マニュアル
渡邉 直美

証拠写真なら私におまかせを!!というKさんは、元カメラマン。報道畑をずっと歩いてきたという彼の腕はたしかにいい。しかも、恐いもの知らず。ビルの10階にある部屋に入っていった男女の写真を撮るために、近くのビルの屋上に登るなんていうのは彼にとっては朝飯前。必要とあらば、東京タワーにだって上ってしまうくらいやる気がある。
やる気だけではなく、写真の仕上がりもとにかくいい。我々だったら、かろうじて対象者とわかるくらいの写真しか撮れない場合でも、彼にまかせれば髪の毛1本1本まで数えられるほどいいピントの写真を撮ってきてくれる。しかも、表情まで考えて撮ってくるのだからすごい。先日も、浮気の証拠写真を、依頼者である奥さんに見せたところ「こんなに楽しそうに笑っている主人の顔は始めてみました」と、怒るどころか感謝されてしまったほど。
また、時々「調査していることが対象者にばれてもいいから、とにかく証拠写真が撮りたい”という依頼が入るのだが、これなどフットワークのいいKさんの独壇場といってもいい仕事だ。たとえば、対象者が愛人と落ち合い、ホテルまで歩っていく途中で、彼らを追い越しざまにパチリ。そしてダッシュで逃げる!!(ちなみに、私はこの"撮り逃げ”が大の苦手。何度か逃げる最中にころんでしまったことが・・・・・)
カメラマンとしてはピカーの腕を持っているKさんだが、彼の目標はあくまでもオールラウンドな探偵。
撮影ばかりではなく尾行や調査全般もやりたがっているのだが、今のところはちょっと無理。なぜかというと、カメラマン根性が抜けていないから。いつも大きなカメラバッグを下げているため、尾行には邪魔だし目立つし、しかもついついカメラマンの視点で対象者を追ってしまうから、異常に接近してしまうこともしばしば。これじゃ対象者に"尾行してます”と宣伝し
ているようなもの。写真のウデはピカイチだから、Kさんには撮影専門でやっていってほしいのだが…