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探偵の知識

妻の浮気を調査するために盗聴・盗撮を依頼しても大丈夫か 妻が浮気をしているようです。私に隠れてひそひそと電話をしていたり、私の留守中に誰かを家に招いてい る気配もあります。確実な証拠を得ようと探偵業者に相談したところ、電話を盗聴したり部屋に隠しカメラ を設置したりして調べるなどと言われました。依頼しても大丈夫なのでしょうか

2025年11月19日

Q&A 探偵・興信所110番

配供者が浮気をしていたということになれば、民法上不貞行為に該当し、離婚原因や慰謝料を請求する根拠
となり得ますから、確実な証拠を手に入れたいと思うことも理解できないわけではありません。
しかし、不貞行為の調査のためであるからといって、盗聴や盗撮が許されることにはならないでしょう。
囗盗聴
憲法では、「通信の秘密」が保障されています憲法二一条二項。これは、電話や手紙等の通信手段を用いた
表現の自由を保障するとともに、個人のプライバシーを厚く保障しているものです。ですから、電話の盗聴
行為は、それ自体が通信の秘密を保障する憲法に違反することになります。
そもそも、捜査機関が捜査のために電話の盗聴を行うような場合であっても、極めて限定された場合にの
み、例外的に許される扱いとなっています通信傍受法参照。ただし、通言傍受法自体も憲法に抵触するので
はないかと議論されているほどです。ですから、一般の私人にすぎず特別の権限を与えられているわけでも
ない探偵・興信所が、電話の盗聴をするようなことは許されませんし、電気通信事業法に抵触し、処罰の対
象となります同法四条・一七九条。判例として、岐阜地裁平成九年一一月二一日判決・判例時報一六三八号
一六一頁。また、電話回線以外に盗聴器をしかけ、その録音内容を他に漏らした場合は電波法一•九条によ
り罰せられます。
さらに他人の家に入り込んで盗聴器をしかけるなどすれば、住居侵入罪刑法一三〇条、盗聴器をしかける
際に物を壊した場合は器物損壊罪同法二六一条、建物を壊した場合は建造物損壊罪同法二六〇条により
罰せられます。
そして、このような行為は民法上、不法行為同法七〇九条に該当することになるでしょうから、民事上も
損害賠償責任を負う可能性があります。
囗盗撮
また、盗撮についても、基本的にはプライバシーの侵害に当たり、許されないというほかない
でしょぅ。裁判例でも、探偵が、浮気相手のマンションに遠隔操作のビデオカメラを設置して、三日間にわ
たり無断で部屋の出入口を撮影したという事例で、プライバシーの侵害を認め、探偵に損害賠償を命じた事
例があります京都地裁平成一八年一月二四日判決・判例時報六五〇号九〇頁。
口依頼者の責任
探偵・興信所がこのような違法な調査活動をした場合、調査を依頼した者も、違法であることを承知で探
偵・興所に積極的に違法な調査をするように求めるなど、そのかかわり具合によっては責任を負う場合もあ
ります。