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探偵の知識

消費者契約法は被害救済に利用できるか 消費者契約法という法律があることを聞きました。探偵・興信所とのトラブル を解決する際にも活用できますか。

2025年11月19日

Q&A 探偵・興信所110番

消費者契約法とは、平成一三年四月一日に施行された法律で、消費者と事業者との間の情報の質・量、交渉
力の格差があることから、一定の場合に契約の申込
みまたはその承諾の意思表示を取り消すことができることとするなどして、消費者の利益の擁護を図ること
を目的とした法律です同法一条。
消費者契約法は、事業者法人その他の団体、および、事業としてまたは事業のために契約する個人と消費
者事業者以外の個人との間のすべての契約に適用されます。 仮に探偵・興信所が法人その他の団体とは評
価できない場合であっても、事業としてまたは事業のために契約をしていることは間違いありませんから、
探偵・興信所が「事業者」に該当することは問題ありません。
探偵・興信所とのトラブルに関しては、①重要事項の不実告知、②断定的判断の提供、③不利
益事実の不告知、④不当条項が主に問題になるでしょう。
口重要事項の不実告知
重要事項の不実告知淌費者契約法四条一項一号とは、契約締結の勧誘をするに際して、事業者探偵・興
信所が消費者に、重要事項について事実と異なることを告げ、そのことによって消費者が、告げられた内容
が事実であると誤認した結果、契約を締結することです。この場合には、消費者は当該契約を取り消すこと
ができます。
たとえば、実際には調査結果にかかわらず代金は返還されないのに、「調査が失敗したら、代金は全額返還し
ます」などと言って勧誘を行った場合がこれに当たります。
口断定的判断の提供
断定的判断の提供消費者契約法四条一項二号とは、契約締結の勧誘をするに際して、事業者探偵・興信
所が、消費者に、契約の目的となっている事項に関し、将来における変動が不確実な事項について断定的な
判断を提供することによって、消費者が当該提供された断定的判断の内容が確実であると誤認した結果、契
約を締結することです。この場合には、消費者は当該契約を取り消すことができます。
たとえば、「当調査事務所に依頼すれば、〇〇さんの所在電話番号、家族構成などがわかります」「当社に
依頼すれば、〇〇さんと44さんを別れさせることができます」などと断定的
な判断を提供し、消費者がその言葉を信じて契約を締結したような場合などが断定的判断の提供に当たると
考えられます。
探偵・興信所による説明全体の趣旨からして断定的判断といえるかどうかが問題であり、「絶対に」とか「必
ず」という文言がなくてもかまいません。
口不利益事実の不告知
不利益事実の不告知消費者契約法四条二項とは、契約締結の勧誘をするに際して、事業者探偵・興信
所が消費者に、重要事項について消費者の利益となることを告げ、かつ消費者の不利益となる事実を故意に
わざと告げなかったことにより、消費者が、当該不利益事実が存在しないものと誤認した結果、契約を締
結することです。この場合には、消費者は当該契約を取り消すことができます。
たとえば、中途解約する場合に一定の割合の違約金が発生するにもかかわらず、それについて探偵・興信所
が一切説明しなかった場合などがあげられます。
口不当条項消費者に一方的に不利益な条項
さらに、契約条項のうち、債務不履行や不法行為の場合に事業者の責任を全く免除する免責条項や、解除に
伴って消費者が事業者に対して支払わなければならない損害賠償の予定額が平均的な損害類を超えることを
定める条項などについては、消費者に一方的に不利益な条項として、その超える部分が無効になります消費
者契約法八条・九条一号、第一章Q6参照。違約金があまりに高額である場合などは、これに該当すること
になります。
口取消権の時効期間
なお、清費者契約法に定められた取消権は、追認することができる時から六カ月、契約締結時から五年で時
効によって消滅してしまいます同法七条一項。
民法の規定する時効期間に比べて短くなっており、消費者保護の観点からは問題があると思われますが、残
念ながら現時点では法律でそのように定められていますので、この取消権の時効については注意が必要です。