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探偵の知識

話し合いで離婚することにしました。財産分与の内容も決めましたがまだ口約束だけです。書面を作成する必要はありますか。

2025年11月19日

離婚をめぐる法律とトラブル解決相談129
梅原 ゆかり

協議離婚でも取り決めたことは書面化しましょう。

 離婚する夫婦双方の性格や離婚の理由、あるいは別れるときの状況にもよりますが、たとえ協議離婚で、お互いに納得し合って、 何の問題もなく離婚するとしても、取り決めたことはきちんと書面で残しておくべきです。特に要注意なのが、財産分与や養育費といった金銭にからんだ問題です。離婚届には親権者だけを記入すればよいことになっていますから、財産分与などについては、 その場の流れで適当に、口頭で話して終わりにしてしまう人も多いのですが、これが実はとても危ういのです。
 離婚後も、お互いに誠実な人間関係を続けていくというカップルももちろんいると思いますが、実際には、離婚後は全くの他人になってすっかり距離ができてしまい、口頭で交わした約束などうやむやにしてしまうようなケースの方が多いのです。特に支払う側が再婚した場合、新しい家族を養うのに精一杯で、別れた相手に対する金銭的なやりとりがおざなりにされてしまうという可能性も十分あり得ます。ですから、財産分与や養育費のような金銭的なことはもちろん、子どもに関することなど、離婚後にトラブルのもとになりそうな問題については、合意書(194ページの離婚に伴う公正証書参照)のような形で、あらかじめ書面として残しておくように心しておきましょう。
 そうすれば、万一相手が取り決めに反するような行動に出た場合でも、書面という証拠によって、裁判で自分の言い分の正当性を主張できます。もっと万全を期すのであれば、その書面を「公正証書」にして残しておくとよいでしょう。金銭面でもめるようなことが起きても、「金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する」といった一文を入れることができますので、その場合は強制執行によって財産の差押などが可能です。
 なお、後日になって、財産分与や養育費の支払滞納といったトラブルが生じた場合には、改めて支払催告書などの書面を送付して対応を検討することになります。

・合意書に残しておくべきこと
 財産分与や慰謝料、それに子どもの養育費といった金銭的な事柄については、「支払金额、支払時期、支払方法」を具体的に記載します。
 また、未成年の子どもがいる場合は、親権者をどちらにするのか、計親権者と監護者を分けるかどうか、親権者だけが子どもの養育をする場合、子どもを引き取らなかった側はどのように子どもと会うのか、などの細かい点まで記載すべきです。