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探偵の知識

親権者であった、別れた夫が死亡しました。子どもの親権者になることはできますか。

2025年11月19日

離婚をめぐる法律とトラブル解決相談129
梅原 ゆかり

残った親が当然に親権者になれるわけではありません。

 このケースは、多少難しい問題を含んでいます。まず、親権というものが、何よりも子どものことを第1に考えたものであることを念頭において下さい。親権は必ずしも親の「権利」ではなく、 親の社会的な「責任」なのです。
 離婚後は、親権者は親のいずれかとなり、離婚時に決定しなければなりません。そして、もしその親権者が死亡した場合には、「後見」が開始されます。後見人は、子どもの将来を考えて家庭裁判所が決定します。その際、必ずしも残った親が後見人に選ばれるとは限りません。いったん親権について定められ、それに従って生活しているものの、その親権者が死亡したからといって、 残った親が親権者となるのは、子どもの福祉の観点から必ずしも適切ではないからです。たとえば、残った親が後見をするには相応しくない人物であったり、経済的に不十分な場合には、子どもの将来によくないと判断されます。仮に、後見人に選ばれたとしても、そのまま当然には、親権者にスライドすることはできません。
 もっとも、子どもの利益のために必要な場合には、子どもの親族(残った親)の請求によって、残った親を親権者とすることもできます。家庭裁判所に申し立てて審判が下り、それを戸籍係に届け出ることで、親権者となることができます。