ホーム

探偵の知識

マツキヨ店頭販売商法 「結婚相手を探してあげようか?」

2025年11月19日

浮気とは「午前4時の赤信号」である。
すずきB

ドラッグストア業界の最大手、「マツモトキヨシ」(通称マツキヨ)は、あらゆる工夫を凝らし、業績を伸ばしている。たとえば、繁華街にあるマツキヨは、店頭に激安な女性向け商品を並べてヒットを生んだ話をご存知だろうか?
繁華街は人も多いがライバル店も多く、素通りされやすい。何とかお客さんに立ち止まってもらえるよう、激安な女性向け商品を、通りに面した店頭に並べる。「安っ!」と気づいた女性客の足が止まる。客足が止まるとさらに歩いてる人の足も止まる。手が伸びる。お会計をしに奥のレジへ向かう。奥へ向かえば途中で目にする商品にも手を伸ばす。売り上げが伸びる。言われてみれば当たり前のことかもしれないが、マツキヨはこの「店頭商品」効果により、女性たちの人気を集めている。
僕が仕事しているテレビ業界でも「特番の構成は〝巻頭蛇尾〟が鉄則」と言われている。
19時からの2時間スペシャルだとしたら、19時のド頭に〝なるべく〟視聴率が跳ねて、わかりやすいものを持ってきて(=巻頭=竜のように立派)、最後は弱くてもいい(=蛇尾=蛇のように細い)という法則。漫才やスピーチのツカミ(冒頭のネタ)も然り。何においても「入り口」でお客さんをつかむことは大切だ。
我々のような既婚の浮気おじさんは、いい歳こいて合コンやパーティ的な場が大好きなのだが、時には結婚願望の強い独身女子が多いことに驚く。年齢は40歳前後、いわゆるアラフォー。女医さん、社長秘書、経営者……。みなさんバリバリ仕事していて、おそらく稼ぎもあって、見た目も美しい。
我々が一説こうとすると、「既婚者はダメ。不倫は絶対しないので」と彼女たちは冷たく、既婚な浮気おじさんは、まあモテない(笑)。すぐにでも結婚して子供が欲しいアラフォーの彼女たちにとって、不倫などしてる暇はない。既婚野郎に口説かれても何一ついいことがないことぐらいわかっているから仕方ない。
しかし。だからと言って我々浮気おじさんはタダでは起きない。片や股間は起きている(笑)。それなりの時間とお金を費やして参加しているのだ。おめでとう、いい誕生日会だったね、だけじゃ帰れない。出会いという〝土産〟が欲しい。
たり、頼ったり頼られたりによって成立するのに。自分の弱さ、相手の弱さ、それを自覚するのが結婚なのに。「養ってくれなくていいから、養いたくはない」と、相手の強さも弱さも受け入れないアラフォーたち。謙虚に養ってもらえ! または男前に養ってやれ!
だから結婚できないんだよ、なんて思うのだが……。
そんなことはさておき、「どんな人がいいの? 探そうか?」というフレーズは、既婚の浮気おじさんにとって、結婚したいアラフォー女子への最初のツカミとして有効なことはたしかだ。マツキヨ商法同様、店内に入ってもらえればこっちのもの。Facebookでつながり、素性をお互いが知り、独身男子を紹介するという理由でメシ会を開き、結婚哲学を教えるという理由でデートすれば、もしかしたら独身男子が口説く以上に、グルメなミシュランタイヤ女子のスッスッスるをつるつるに滑り落とすのが容易かもしれない。
これだけ聞くと、アラフォー女子の結婚したい願望をもてあそぶ悪いおじさんにしか聞こえないかもしれないが、我々はそうじゃない。
結婚したいアラフォー女子を騙すつもりはないし、婚活の足を引っ張るつもりもない。
我々の想いはひとつ。幸せな結婚をしてほしい、だ。ただ、彼女たちに足りないのは、日頃の恋愛のトレーニング。女子のようなぬるい合宿では、野球で言うところの「肩を冷やす」一方だ。彼女たちが、今後いつ素敵な男性に出会おうとも、素晴らしいキレのある球をバシっと投げ込めるよう「肩を温めておこうぜ」と言っているのだ。
長い間、恋を休んでる女子は「蜘蛛の巣が張る」などと言われるが、実際、あそこに蜘蛛の巣は張らず(当たり前)、性欲が硬くなったり、伸縮性がなくなったり、濡れにくくなるという。
ただし、我々浮気おじさんが言いたいのは、そこではない。そこまで行ったらどうにでもなるし、伸縮性や濡れについては、セルフのサービスで自主トレしとけ、という話だ(笑)。大事なのは、そこに行く前の段階で必要とされる恋愛筋肉を鍛え、男にちゃんと「投げ込める肩」を作っておくべしということ。
好きじゃないに会うまで投げないのでは「肩がサビつく」。
今やるべきは〝今その年齢での〟男にモテる酔い方や、モテるツッコミ、モテる聞き上手テクを磨くことであって、〝若かりし頃モテたそれ〟では誰も見向きもしない。ドラマ「結婚できないんじゃなくて、しないんです」を研究しても、婚活本や雑誌のモテテクを熟読しても、実践が伴わなければ、ダイエット本を読むだけでは痩せないように、意味がない。知識は意外と役立たない。
そう、いい人に出会ってから云々に投げるのでは遅い。本番での暴投は命取りだ。
その実践的キャッチボール相手として、暴投上等、どんな球も受け取ってくれる頼もしいキャッチャーとして、我々おじさんは立候補しているのだ。
あなたたち独身女性が幸せになるための「肩」を作ってあげたい。ただし、キャッチボールと言いながら、おじさんのバットが立ってたらごめんなさい(笑)。
デッドボール!