僕のカバンから出てきた動かぬ証拠……うすぴた事件
2025年11月19日
浮気とは「午前4時の赤信号」である。
すずきB
オーストリアの精神科医、フロイトは、「ネクタイはペニスの象徴である」と言った。なるほど、だから女性は男にネクタイを贈り、それをつけてることに喜びを感じるのか。「彼が信じてるペニスは私のモノよ」てな具合に。
それゆえ世の妻は、どこぞの女から贈られたネクタイを夫がしてると嫉妬するのかも。ネクタイは紳士のシンボルでもあるが、一説には、ネクタイがないと首輪のない野良犬のようになるので、女性が男をコントロールする犬のリードのようなもの、とも言われる。
男の体の真ん中に、細くて長いモノがぶら下がってるというビジュアルを考えると、たしかにネクタイはボコチンを彷彿とさせる。結び目が亀頭に見えて仕方ない(笑)。
我々男は、このボコチンというどうしようもない〝ならず者〟を、時にかまい、時にいためつけながら、24時間365日、帯同させている。
そして、女性には理解しがたいと思われる些細なキッカケでムクムクと目が覚め、手がつけられないほど暴れ出すことがある。
ある時は合コン中、フェチ発表会ゲームで隣の女子が「私、ノド仏フェチ! あ、このノド仏、最高」と、ノドを触られた瞬間だったり……。
ある時は、女子とゲスな話のヒップに回した指先が、薄手のスカート越しに「絶対イイバックじゃん」と確信した瞬間だったり……。
我がムスコは、どれだけ叱ろうとも、ぐいぐい反り返る反抗期を迎える。
まさに、不良ムスコ(笑)。
そんな時、ムスコの父である我々浮気おじさんは深く感じ入る。
何に対して無関心で傍観者な〝しらけ世代〟のようなムスコに比べたら、また、バイアグラという薬に溺れるヤク中ムスコに比べたら、うちのムスコは、ヤンチャだけど健康的でいいじゃないか、と。
反抗期のムスコは、頭ごなしにねじ伏せて自由を奪うよりも、語り合うことが重要だ。「いいか、手を出してもいいけど、傷つけたり、悲しませるようなことはしちゃだめだぞ。そして、最低限のルールは守れ」と。
ノーヘル(被らない)運転で事故って大怪我されるよりも、常にヘルメットを被る暴走族であってほしい。
一緒に乗る相手から「ヘルメット被ってくれなきゃ、またがるの、イヤ」と言われた時に、「面倒くせえな、ノーヘルで大丈夫だから。事故んないから」と言って強引に走らせる不良ライダーにはなってほしくない。
そんないじらしい願いで、僕は、ある時期、仕事のカバンの中にいつも、コンドームを忍ばせていた。すると、忘れた頃に天災はやってくる。ある日、僕の前に、カバンとそのブツを手にした鬼が来た。
「おい! なんだ、この『うすぴた』ってのは! こんなモノ、なんでカバンに入れとく必要があるんだ? やってんだろ? 正直に言ってみろ」
警察の取り調べを受ける容疑者にスタンドライトが向けられるように、僕の鼻先に「うすぴた」という名のコンドームがすりつけられた。もはや、言い訳のしようのない動かぬ証拠。僕は当然、いざという時「ヘルメット被ってねお姉さん」に会った時のためにカバンに入れているわけだし。
しかしここで、我々浮気おじさんは、はい、そうです。浮気してます。すいません」と認めるわけにはいかない。かと言って、「未遂です、まだ一度も使ってませんから」と言えば、「何だと! じゃ、やるつもりだったのか!?」と余計に怒られる。
鬼への答えを考えるその時間、わずか1秒。僕はこう言った。
「これは、仕事で、どうしてもセルフでしたくなった時に、手や周りを汚さないために必要なのよ。あ、たぶん、女にはわからないと思うんだけど、男は、たまにゴム使うのよ、一人でエッチする時に。人の記憶は匂いで呼び起こされるって言うじゃん? ゴムの匂いと締めつけ感で、逆に盛り上がるっていうか……」
「逆」ってなんだよと思いながら、真剣に言い訳した。もちろんウソなのだが。
女子にはわからぬ男の哀しい事情をアピールしたことで、うまく切り抜けられたかな、と思ったその時、鬼は言った。
「ほう〜、どうやって、それつけてセルフですんのか、じゃ、今、見せてみなよ」
まるでヤクザである。
しかし、男に二言は、あるわけ、ない。
「え、今? ここで? ……あ、全然いいよ」
僕は必死で実演して見せようと頑張った。静かなリビングで、お気に入りのAVの好きなシーンを早送りで探す。しかし、ならず者のムスコは、こんな時に限って、うんともすんとも言わない。
街でカツアゲしようとする不良に、お金持ってないと言うと「じゃ、ジャンプしてみろ」と言われ、チャリンチャリンと小銭の音が響いてるような、そんなマヌケな時間が流れていた……。
そんな、どうしようもない我がムスコに、イーグルスの名曲「デスペラード」(ならず者)を贈る(日本語訳詞を一部抜粋)。
〝ならず者よ、なぜ目を覚まさないんだい?〟
〝お前はお前の言い分があるだろうけどさ〟
〝お前を哀しませることがお前を傷つけることだってあるんだよ〟
〝お前は手に入らないものばかりほしがるんだな〟
〝ならず者よ、なあ、お前は若くならない〟
〝誰かが愛してくれるべきだ〟
〝手遅れになってしまう前に〟
それゆえ世の妻は、どこぞの女から贈られたネクタイを夫がしてると嫉妬するのかも。ネクタイは紳士のシンボルでもあるが、一説には、ネクタイがないと首輪のない野良犬のようになるので、女性が男をコントロールする犬のリードのようなもの、とも言われる。
男の体の真ん中に、細くて長いモノがぶら下がってるというビジュアルを考えると、たしかにネクタイはボコチンを彷彿とさせる。結び目が亀頭に見えて仕方ない(笑)。
我々男は、このボコチンというどうしようもない〝ならず者〟を、時にかまい、時にいためつけながら、24時間365日、帯同させている。
そして、女性には理解しがたいと思われる些細なキッカケでムクムクと目が覚め、手がつけられないほど暴れ出すことがある。
ある時は合コン中、フェチ発表会ゲームで隣の女子が「私、ノド仏フェチ! あ、このノド仏、最高」と、ノドを触られた瞬間だったり……。
ある時は、女子とゲスな話のヒップに回した指先が、薄手のスカート越しに「絶対イイバックじゃん」と確信した瞬間だったり……。
我がムスコは、どれだけ叱ろうとも、ぐいぐい反り返る反抗期を迎える。
まさに、不良ムスコ(笑)。
そんな時、ムスコの父である我々浮気おじさんは深く感じ入る。
何に対して無関心で傍観者な〝しらけ世代〟のようなムスコに比べたら、また、バイアグラという薬に溺れるヤク中ムスコに比べたら、うちのムスコは、ヤンチャだけど健康的でいいじゃないか、と。
反抗期のムスコは、頭ごなしにねじ伏せて自由を奪うよりも、語り合うことが重要だ。「いいか、手を出してもいいけど、傷つけたり、悲しませるようなことはしちゃだめだぞ。そして、最低限のルールは守れ」と。
ノーヘル(被らない)運転で事故って大怪我されるよりも、常にヘルメットを被る暴走族であってほしい。
一緒に乗る相手から「ヘルメット被ってくれなきゃ、またがるの、イヤ」と言われた時に、「面倒くせえな、ノーヘルで大丈夫だから。事故んないから」と言って強引に走らせる不良ライダーにはなってほしくない。
そんないじらしい願いで、僕は、ある時期、仕事のカバンの中にいつも、コンドームを忍ばせていた。すると、忘れた頃に天災はやってくる。ある日、僕の前に、カバンとそのブツを手にした鬼が来た。
「おい! なんだ、この『うすぴた』ってのは! こんなモノ、なんでカバンに入れとく必要があるんだ? やってんだろ? 正直に言ってみろ」
警察の取り調べを受ける容疑者にスタンドライトが向けられるように、僕の鼻先に「うすぴた」という名のコンドームがすりつけられた。もはや、言い訳のしようのない動かぬ証拠。僕は当然、いざという時「ヘルメット被ってねお姉さん」に会った時のためにカバンに入れているわけだし。
しかしここで、我々浮気おじさんは、はい、そうです。浮気してます。すいません」と認めるわけにはいかない。かと言って、「未遂です、まだ一度も使ってませんから」と言えば、「何だと! じゃ、やるつもりだったのか!?」と余計に怒られる。
鬼への答えを考えるその時間、わずか1秒。僕はこう言った。
「これは、仕事で、どうしてもセルフでしたくなった時に、手や周りを汚さないために必要なのよ。あ、たぶん、女にはわからないと思うんだけど、男は、たまにゴム使うのよ、一人でエッチする時に。人の記憶は匂いで呼び起こされるって言うじゃん? ゴムの匂いと締めつけ感で、逆に盛り上がるっていうか……」
「逆」ってなんだよと思いながら、真剣に言い訳した。もちろんウソなのだが。
女子にはわからぬ男の哀しい事情をアピールしたことで、うまく切り抜けられたかな、と思ったその時、鬼は言った。
「ほう〜、どうやって、それつけてセルフですんのか、じゃ、今、見せてみなよ」
まるでヤクザである。
しかし、男に二言は、あるわけ、ない。
「え、今? ここで? ……あ、全然いいよ」
僕は必死で実演して見せようと頑張った。静かなリビングで、お気に入りのAVの好きなシーンを早送りで探す。しかし、ならず者のムスコは、こんな時に限って、うんともすんとも言わない。
街でカツアゲしようとする不良に、お金持ってないと言うと「じゃ、ジャンプしてみろ」と言われ、チャリンチャリンと小銭の音が響いてるような、そんなマヌケな時間が流れていた……。
そんな、どうしようもない我がムスコに、イーグルスの名曲「デスペラード」(ならず者)を贈る(日本語訳詞を一部抜粋)。
〝ならず者よ、なぜ目を覚まさないんだい?〟
〝お前はお前の言い分があるだろうけどさ〟
〝お前を哀しませることがお前を傷つけることだってあるんだよ〟
〝お前は手に入らないものばかりほしがるんだな〟
〝ならず者よ、なあ、お前は若くならない〟
〝誰かが愛してくれるべきだ〟
〝手遅れになってしまう前に〟