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探偵の知識

ケンカした時は『あしたのジョー』に学ぶ〝ノーガード戦法〟で

2025年11月19日

浮気とは「午前4時の赤信号」である。
すずきB

32歳の女子から、こんな相談をされた。
「結婚したいと思っている彼氏が私を束縛する。女子友と遊びに行くだけなのに怒る。合コンだろ、と疑う。私は何も悪いことしてないのに。そんな器の小さい彼と結婚していいのか不安になる」
と言ってあげた。
「その彼と結婚したいと思うなら、女子会なんて行かなくていいよ。女子友なんて、いつでも、いくらでも代わりは見つかるけど、結婚したいと思う相手は、そうすぐには見つからないから。まずは、できるうちに結婚してしまうことが大事」
「32歳でしょ? もし今その結婚を逃したら、次いつ結婚したい相手と出会えるかわからないよ。ある調査によると、女性は33歳を過ぎると転げ落ちるように急激に株価が下がるらしいから。世の独身男性が結婚相手を20代に求めることが多いのは、出産を意識するからなんだって」

「一生独身で仕事をしたなら別だけど、いずれは子供を産みたいなら、1日でも早く彼氏にハラをくくらせたほうがいいよ。女子友は自分が結婚したり出産したら、あなたと一緒にいてくれくれいけど、その彼氏は結婚して生涯一緒にいる伴侶になりうるのだから」
結婚してからだって女子会はいくらでもできる。出産すればママ友ができる。ここ1年を、全力で結婚に向かうことに傾けたほうがいい。女性ができる最大の親孝行は、結婚なのだからね」
結婚が親孝行? そう、特に女性が結婚&出産するほど素晴らしい親孝行はない。というのは、ある心理学者の話からだ。女性が一生のうちで、最も幸せドーパミンが出る瞬間は、好きな人と会った時でもない、結婚した時でもない、子供を産んだ時でもない。自分の「孫」を抱いた時なのだと。
つまり、我が子を抱いた時は、育児の葛藤やら苦労やらも伴うので精神的に不安定だったりする。だが「孫」を抱く時は、幸せを手放しで受け入れられる余裕がある。孫を抱いた時が、幸せドーパミンが最高に出る瞬間。つまり女性ができる人生最大の親孝行は、「母に孫を抱かせ、最高の幸せドーパミンを出してあげること」なのだと。

「……ってことなんだ。だからここは、人生最大の親孝行だと思って、女子友との遊びを我慢したらどう?」
彼女は女子友との約束をキャンセルし、女子とは疎遠になったが、彼氏を優先した結果、今は二児の母として、夫となった彼と幸せそうだ。
僕の母ヒデコ(でぶ)がよく言っていた、「負けるが勝ち」と。
ここで言うなら、結婚という勝利を得るためなら、本来合コンと疑われ「女子会よ! ウザすぎ!」と戦いたいところを、彼の前ではバカなフリして負けてあげる、出かけるのをやめてあげることが実は自分にとって勝ち。そういう考え方。
そう、結婚生活なんて「負けるが勝ち」の繰り返し。
漫画『あしたのジョー』に登場するノーガード戦法は、夫婦やカップルにおいても有効だ。ファイティングポーズして戦おうとすると肩に力が入り、うまくいかないこともある。そこで、相手に対して、両手をブラリと下げて無防備にし、殴りたいなら殴ってきなさい的な力の抜き方をすると、こっちにも力が入ってない分、殴られても痛くない。怪我もしない。

僕も、普段やらない家の皿洗いを良かれと思ってやってあげたら、
「なんだこの洗い方は! ぬるぬるじゃねーか! ザッツ雑男だな。ヒデコ(僕の母)みたいに洗剤ケチってお湯で洗えばキレイになると思ってんだろ。油は全然落ちないから、お湯じゃと、罵倒される。
昔なら「せっかく洗ってやったのに、ふざけんな!」と逆ギレした結果、
「はあ? 洗ってやっただと! トシさん(鎧塚俊彦シェフ)みたいな有名なシェフでも洗い物は全部やるっていうのに、なんだよ、お前はー チンカスのくせに」
などと返され大炎上したものだ。
しかし今や、そんな時はまずノーガード戦法。悪いと思ってなくても謝る。ファイティングポーズで立ち向かわないことにした。相手に言いたいだけ言わせ、好きなだけ罵倒させてあげる。負けてあげてるんだから俺が勝ちだなと自分に言い聞かせて。すると、鬼も言いたいだけ言ってすっきりしたのか意外と早く静かになる。
(勝った!)
恋愛も結婚も、負けるが勝ち。
勝ってるつもりでホントは僕が負けてるのかもしれないが、ま、これでいいのだ。