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探偵の知識

浮気マイレージを貯めて、一挙にドカンとポイント還元

2025年11月19日

浮気とは「午前4時の赤信号」である。
すずきB

「恋愛学」を専門とする、早稲田大学国際教養学部の森川友義教授によれば、「男らしさ」は先天的に決まっていて、男性ホルモンのテストステロンに影響されるのだとか。テストステロンは右手の指に現れ、「人差し指より薬指のほうが長い人が男らしい」そうだ。男性ホルモンが多い=浮気性ということ。
僕の右手の薬指を見てみると……おっ、薬指のほうが人差し指より明らかに長い。なるほど、僕はどうやら、テストステロンが生まれつき多い先天的な浮気性のようだ。理性のないのではない、悪しからず。
あなたの夫や彼氏はどうでしょう? ぜひ右手の人差し指と薬指をチェックされたし。
さて、そんな先天的浮気性の僕が、日頃、励みにしている言葉がある。
「神は乗り越えられる人にしか、試練を与えない」

次から次へと困難が現れ、行く手を阻む時、なんて自分にばかり? と考えず、これはこの困難を乗り越えられる自分に、あえて神が試練を与えてるのだと考える。日々ふりかかる結婚生活における試練も、越えられる能力のある我々を、神が選びたもうたのだと。
そう思うと、越えられる気がしてくる。
結婚1年目、鬼の逆鱗の数々……。
収入の全額を鬼に託して小遣い制に甘んじ、僕が持ちたいと願った事務所は浮気の温床になるからと持たせてもらえず、僕の帰りが遅いとこれが会議でも浮気と疑われ、家でテレビを見ているとそれも仕事なのかと働けと叱られ、家事を手伝っても褒められずに恐縮し、鬼ヲハラに耐えながら歯を食いしばって暮らしている。
鬼が僕を「鼻毛」や「浮気おやじ」と呼んで馬鹿にするせいで、父親としての威厳ゼロ。子供たちからも「鼻毛」と呼ばれ、それを他人に言われ、正直、つらいこともある。
しかしそんな時は、キレずに自分にこう問いかける。
「家族に尊敬されるけど浮気も合コンもろくにできない立派なお父さんと、完全にバカにされてるけど、浮気も合コンもできる鼻毛おやじと、どっちがいいかな? 鼻毛でいっか。てへっ」と、神に向かって、舌を出してやる。

たとえ〝レジャー〟(P72)とはいえ、僕の浮気行動は、世の常識からしたらアウトかもしれない。ミステリーの半分を突きつけられてもおかしくない不貞かもしれない。しかし結婚生活というものは、試練にどう向かえば切り抜けられるかを、いつも考えさせてくれ、答えに導いてくれる。
そう、我々浮気おじさんもバカではない。ただ鬼の目を盗んで、合コンや〝レジャー〟をしているわけではない。怒られて学習し、徐々に鬼との戦い方を覚えていく。こうすればマイナスをプラスにできるんだなと。
日頃、家庭を顧みずフラフラしてる分、家族の誕生日や大事なイベントは気合を入れて頑張る。遊び人だからこそできる凝ったお祝いをしてあげると、こんな鼻毛おやじも悪くないと思ってもらえる。
恥ずかしながら、今年の鬼バースデーは、鬼のフラダンス友達(元・宝塚)を巻き込み、〝ベルばら〟のカッコで衣装を用意して、六本木ジェンヌ指導のもと、芝居と歌をみっちり特訓。ホテルの部屋に仲間たちをこっそり呼んでおいてサプライズをした。予期せぬ演出に、〝鬼の目にも涙〟だった。
これも、せめてもの罪滅ぼし……。日頃、合コンしたり飲み歩いたりしてる時間には、さすがに家族に申し訳ないという〝浮気マイレージポイント〟を貯めている。借りを作っている。その分、記念日に一気にドカンとポイント還元する。
「そんなの要らないから、真面目に暮らしてほしい」という奥さんもいるだろう。
しかし、夫婦には、それぞれやり方がある。うちの場合は、これでバランスを取っているのだから仕方がない。
みなさんにも、何か頑張った時の〝自分へのご褒美〟というのがあるだろう。僕にとって、日頃仕事を頑張った自分へのご褒美が、そして、鬼の仕打ちにキレずに耐えた自分へのご褒美が、合コンや〝レジャー〟だ。そしてそれは、同時に浮気マイレージポイントとして貯まり、いずれポイント還元されるのだから大目に見ていただきたい。
「神は乗り越えられる人にしか、試練を与えない」
どうか神様、鬼様、〝右手の薬指〟が長い先天的浮気性の僕のことを、これからも許し、乗り越えさせてくれますように!
〝人生の薬指〟の指輪は、いつなんどきもゆるさでいると誓いますから……。