ホーム

探偵の知識

妻が夫のケータイを見るのは離婚すると決めた時

2025年11月19日

浮気とは「午前4時の赤信号」である。
すずきB

ある番組を見ていたら、離婚した女性芸能人たちが、離婚の理由を語っていた。あくまでテレビ用のコメントかもしれない。しかし、とはいえ、少なくともこの人たちは、これが離婚の理由として成立してると思ってる。そのことに僕は納得できなかった。曰く、
「毎朝、夫のお弁当を作り続けることに疲れた(手作り弁当、やめれば?)」
「相手を解放してあげたくなった(え? 自分が解放されたいのでは?)」
「一緒にいると、変なスイッチが入ってプレッシャーだった(そのスイッチ、要る?)」
「この人と相性がいいと思って結婚したのに相性が良くなかった(なんだそれ!)」
そんな理由? 学生の恋愛じゃないんだから、そんな理由で離婚しちゃいけない。
相性がいいと思ったら良くなかっただと!?
母ヒデコ(でぶ)が言ってたあの言葉を思い出す。
「この人と相性がいいと思うのは、勘違い。この人と相性が悪いと思うのも勘違い。どっちみち勘違いなら、相性がいいと信じる前向きな気持ちを持って、相手にも、その前向きな気持ちを持たせ続けるようにすることが、結婚だでね」
そう、目に見えない〝相性〟なんてものは、そもそも思い込みに過ぎない。と考えると、結婚相手との相性というのは、「合格祈願」に似ている。
「合格祈願」したからといって、頭が良くなるわけでもないし、試験中に答えが降りてくるわけでもない。ただ、試験会場でみんなが合格祈願のお守りを握りしめてる中、自分だけ何も祈願してなかったら急に不安になる。それだけでマイナスだ。「自分も祈願したから大丈夫」そう信じることは、信じない人よりも強気になれて、それだけで意味がある。
結婚もそう。
何か起きた時、「大丈夫」と信じればうまくいくき、「大丈夫じゃない」と思い始めれば不安になる。悪循環に陥る。
夫のケータイをこっそり開いた時、本当は「何でもない同級生とのハートマークすら『デキてるのでは?』とマイナスに思えてくる。それは、試験会場で「祈願してない」と不安に陥って全力が出せないようなもの。
ならば「大丈夫」と信じて開かないことが、あなたにとっての合格祈願だ。

相性の良し悪しなんて、ヒデコが言うようにしょせん勘違いで、自分がどっちを望んでいるかが大きい。〝相性がいい〟と決めた時は好きになるし、〝相性が悪い〟と思い始めたら嫌いになる。
「コンプレックスが浮き彫りになるのが恋で、コンプレックスを受け止めるのが愛」というのは、ちあきなお氏の名言もあるが、その通りで、
「相性の悪さ、価値観のズレが露呈して別れるのが恋愛で、相性の悪さ、価値観のズレを受け止め、攻略する方法を探し、楽しめるのが結婚」だ。
僕が結婚したこの人は、なんでこんなに僕を束縛したり、僕をいじめたりするのだろうと悩んだ時もあった。逃げ出したくなった時期もあった。しかし、僕は受け止めた。そして現在までに、攻略する方法を見つけている。
鬼が僕のことを詮索し、見破ろうとしてきた時の攻略法その1。
「しかし、何でも見破るね? 俺のこと、そんなに好きなのね、照れるわ」とホメ殺す。
すると鬼は、「バカじゃねぇの! おええ〜」と気持ち悪がって、その場を平和に終わる。
昔なら僕が先に「うるせー!」とぶちギレ、大炎上の喧嘩になったのに。
昔と比べ、気楽な離婚ができる時代になった。「バツイチ」とか「シングルマザー」という言葉が、なんだかカッコ良くさえ見えてしまう昨今。
しかし、だからといって、簡単に離婚してはいけない。子供がいたら特にそうだ。「シングルマザー」という横文字にダマされてはいけない。
夫婦たちよ、歯を食いしばれ。母子家庭は、両親揃ってる家と比べたらいろいろと大変だ。もちろん離婚することで幸せになる家庭もあるが、一時の危機を凌いだおかげで、今となっては、「喉元過ぎれば、ってやつだったね」と笑い話にしてる夫婦も多い。
シングルマザーは、あなたが思うほどカッコイイものではない。厳しい現実もある。
〝母子家庭はつらいよ〟をエネルギーに、ダメ夫をうまく転がし、乗り越えていくことを僕は薦める。
それまでのもろもろをすべて考えたうえで、離婚する覚悟で夫のケータイを開くというならいいが、その覚悟がないなら、歯を食いしばって、夫のケータイ開くべからずだ。いますか? 夫のケータイを開いても、幸せは一つもありませんよ。溢れる絵文字やスタンプ、ハートマーク。そこに嫉妬心と怒りを覚えるだけですよ。しかしそれは、心配する相手じゃないかもしれない。精神的に滅入るだけ。妻が損するだけ。
映画『最高の人生の見つけ方』のパンフレットに秋元康さんが寄せた、こんなコメントが僕は好きでメモってある。
「人は、間違う。でも、間違うことを恐れず、正しいと信じて走る勇気が大事。間違いに気づいて即Uターンするエネルギーが大事。立ち止まって悩んでる時間がもったいない。人生に無駄なし」
夫のケータイを開き、浮気の証拠を見つけて離婚する。そういうUターンもあるだろう。しかし待て。あえてそのケータイを開かずに、旦那の浮気グセを叩き直していく、そういうUターンもある。
人は間違う。正しいと、信じて、走る勇気が大事。